研究課題/領域番号 |
21K09764
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
白石 真土 三重大学, 医学部附属病院, 嘱託医 (00895229)
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研究分担者 |
千葉 親文 筑波大学, 生命環境系, 教授 (80272152)
溝口 明 三重大学, 医学系研究科, 産学官連携講座大学教員 (90181916)
成島 三長 三重大学, 医学系研究科, 教授 (80431873)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イモリ / 再生 / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
イモリは高い組織再生能力を有しているが、その再生機構は未だ解明されていない。イモリはヒトと同様に発達したリンパ系を持つが、さらに体節に沿ってリンパ心臓と呼ばれるリンパ器官が存在する。予備実験では、このリンパ心臓が四肢の再生に寄与する可能性を見いだした。本研究では、リンパ系と組織再生の関係に着目し、以下の項目により、イモリのリンパの構造と機能を解明した。 1) 成体イモリをマイクロサージャリーでリンパ管と静脈の接合部を切除する手術(リンパハート)と偽手術に割り付けたランダム化比較試験。術後の四肢の再 生に両群間で有意差はなかった(P=0.77)。また、リンパ心切除後のイモリでは浮腫は生じなかった。 2) 超高周波超音波、マイクロCTリンパ管造影、近赤外線リンパ管造影、3次元連続組織体積コンピュータ再構成、電子顕微鏡の各技術を用いて、成体イモリのリンパ管解剖の解明を試みた。その結果、静脈系に隣接して肋骨や椎骨を走る新規の骨内リンパ管が、リンパ心除去後の主要なリンパ流ドレナージシステムとして機能することを確認した。現在、この新しいネットワークの他の機能を詳細に検討している。 3)再生リンパ管内の組織サンプルを採取し、免疫組織化学染色法を用いて再生途中のリンパ管、神経、血管を観察する予定である。これまで、CD31、LYVE-1、VEGFR-3など、哺乳類で確立されたいくつかの主要な血管分子マーカーを実験に応用することに成功した。しかし、リンパ管の運命の主な制御因子であるリンパ管特異的マーカーProx-1の発現を探索している。 4) 切断腕モデルにおいて、再生芽に好中球などの免疫系細胞が集まってきているような所見も得られた。イモリの免疫系にも注目し、組織再生への関与を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
成体イモリにおける肉眼的・組織学的な評価が進んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により遅れていた細胞培養系の実験についても進んできつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在、これまでの研究結果につき論文投稿をおこなっている。今後、より組織学的・分子生物学的な評価を行うために、技術や知識を持つ他教室とも協力して、イモリの再生能力の真相へと迫る。
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