哺乳類の胎仔は、ある時期までの皮膚創傷は素早く、そして瘢痕を残すことなく完全に再生する。再生のメカニズムとして、表皮側の要因としては細胞遊走ではなく、actin cableを形成し、表皮組織を収縮させることで、表皮細胞の位置値を変えずに創が閉鎖することが、皮膚の完全再生の鍵となる。しかし、皮膚を完全に再生させ、その後皮膚の形態形成を引き起こすためには、表皮側の因子だけでなく表皮真皮相互作用が必要である。しかしこれまで、マウス胎仔皮膚の完全再生のための真皮線維芽細胞の移動のメカニズムについては報告されてこなかった。本研究では、マウスE13からE15の創傷治癒過程を観察し、真皮線維芽細胞の移動を変化させることで、皮膚再生にどのような影響を与えるかを観察することを目的とした。これまでの研究で、真皮直下にtwist2が発現することが解っているが、twist2を発現している細胞で、特異的にRac1またはRhoの発現を発現を抑制することで、真皮線維芽細胞の移動の抑制を行った。B6.129X1-Twist2tm1.1(cre)Dor/J、とactinを重合し遊走に関わる葉状仮足を形成する低分子量Gタンパク質であるRacをコードするexon内にlox-P siteを有し、Creレコンビナーゼを発現する細胞でRacをノックアウトすることができるSTOCK Rac1tm1Djk/J、同様にCreレコンビナーゼを発現する細胞でactin cableの形成を促すRhoをノックダウンできるB6(Cg)-Rhoqtm1.1Pkm/Jの2種を交配させ手術胎仔手術を行う試みを行った。
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