研究課題
2023年度は、不死化したヒト乳歯由来歯髄幹細胞の培養上清(SHED-CM)投与による虚血再灌流障害による発症する褥瘡の潰瘍形成抑制効果における肝細胞増殖因子(HGF)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の関与とその作用機序について、in vitroの細胞培養系を用いて検討した。① SHED-CM中のROS産生の抑制効果とVEGFおよびHGFの関与の検討:マウス線維芽細胞株NIH3T3を低酸素条件下(1%酸素)1%FBS含有培地でSHED-CMの有無で48時間培養後、通常の酸素下(21%酸素)で6時間培養し、細胞内の活性酸素種(ROS)の産生増強をDCFDA Cellular ROS Detection Assay Kitで測定した。その結果、SHED-CMにより、ROS産生が抑制され、SHED-CMよりHGFおよびVEGFに対する特異的抗体を用いてそれぞれのサイトカインを免疫除去すると、コントロール抗体処理したSHED-CMに比べ、そのROS産生抑制効果がキャンセルされた。②SHED-CMの血管新生増強効果とVEGFおよびHGFの関与の検討:ヒト臍帯血由来血管内皮細胞(HUVEC)を用いた管腔形成アッセイにより、SHED-CMの血管新生の増強効果を調べた。その結果、SHED-CMにより血管新生増強効果が見られ、上述と同様に特異的抗体を用いてHGFおよびVEGFを免疫除去したSHED-CMは、コントロール抗体処理したSHED-CMに比べ、その血管新生増強効果がキャンセルされた。以上の結果は、SHED-CMを投与した褥瘡モデルマウスでの酸化ストレスマーカー8-OHdG(8-hydroxy-2’-deoxyguanosine)や血管内皮細胞のマーカーCD31に対する抗体を用いた免疫組織化学的解析の結果と一致した。
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