研究課題/領域番号 |
21K09783
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
森山 博由 近畿大学, 薬学総合研究所, 准教授 (90581124)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脂肪由来間葉系幹細胞 / シングルセル解析 / インフォマティクス解析 / トランスクリプトーム解析 / 特異的マーカー / 分化誘導 |
研究実績の概要 |
本研究は、真の脂肪組織由来間葉系間質幹細胞(hASC)の実像に迫るべく、高解像度のシングルセルレベル解析ならびに性状解析を実施し、未だ未同定のhASCに迫る科学的な成果の探究を目的とする。また、その成果を再生医療に資するhASCの提供(質と量を担保できる橋渡し)としての実用化研究へと連結することも終局目標に据えている。そのため当該年度は、(1) トランスクリプトームレベルでの発現解析と候補遺伝子の峻別を実施し、特徴的な遺伝子発現集団とその遺伝子群のマトランスクリプトームルチオミクス解析から、少なくとも6~7つの亜集団とその遷移または独立関係、ならびに、マーカー候補分子や特異的分化能を有すると思しき遺伝子(群)のヒエラルキーを見出した。また、(2) タンパク質レベルでの候補遺伝子のバリデーション(検証)を行い、(1)で選出した特異的分化能を有すると思しき遺伝子(群)の一部につき、間葉系終末細胞群もしくは外胚葉系終末細胞群への特異的な分化能との関わりが在る事を見出した。さらに、一部の終末細胞については、組織特異的な分化誘導のもと、その機能性についての解析を行い、論文化をすすめた。さらに高度な細胞性状解析を行うため、(3)遺伝子導入系の精査と細胞性状解析のコントロール細胞系列の選定を行い、本解析に至適な、よりhASCの形質維持や分化誘導を制御し易いと思しき遺伝子導入系、ならびに従前に定義されているいわゆるhASを安定した状態で維持できるような培養系の向上、同義に高度な性状解析のためのコントロール細胞(郡)の確立を行った。このよに、総じて本研究は各年度計画を達成するよう、おもだった予備的な結果を紡げていることから、有意義な研究が展開されているものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度で実施予定であった研究計画である(1) トランスクリプトームレベルでの発現解析と候補遺伝子の峻別において、少なくとも6~7つの亜集団とその遷移または独立関係をしめさたこと、マーカー候補分子や特異的分化能を有すると思しき遺伝子(群)のヒエラルキーを見出したこと。(2) タンパク質レベルでの候補遺伝子のバリデーション(検証)おいて、間葉系終末細胞群もしくは外胚葉系終末細胞群への特異的な分化能との関わりが在る事を見出したこと。一部の終末細胞については、hASCから分化させたうえの機能性等を解析し、論文化をすすめたこと。(3)遺伝子導入系の精査と細胞性状解析のコントロール細胞系列の選定において、よりhASCの形質維持や分化誘導に至適な遺伝子導入系、ならびに高度な性状解析のためのコントロール細胞(郡)の確立を行ったこと、以上の成果が得られたことから、有意義な研究が計画的に展開されているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度の研究成果を受け、次年度以降は、シングルセルクラスター解析によって分画化された集団の性状解析を実施すべく、(4) 遺伝子導入系の精査とコントロール細胞系列の選定の確立、(5) 間葉系を中心とした3胚葉系細胞への分化誘導による細胞性状評価、および、クラスター間相互作用と各クラスターのヒト組織生体内分布の解析を実施すべく、(6) ヒト皮膚組織(含む皮下組織)における局在の解析,(7) 先鋭的な3Dヒト皮膚皮下組織構築系におけるクラスタ細胞集団の組織学的機能解析、以上の研究計画をシームレスに行うように、万全の準備のもとに研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、コロナ禍等の関係もあり学会出張費の充当はなく、また論文等については投稿中のため、謝金等は諸事なかった。それを背景に、おもに実験実費となる物品費を主たる使途として消化させていただいたが、多少の余剰が発生した。しかしながら、これは各年度をシームレスにつなぐための流動的な残額として認識いただく思うゆえ、次年度の研究計画のもと有効に活用したいと思う。
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