本研究は、真の脂肪組織由来間葉系間質幹細胞(hASC)の実像に迫るべく、高解像度のシングルセルレベル解析ならびに性状解析を実施し、未だ未同定のhASCに迫る科学的な成果の探究を目的とする。また、その成果を再生医療に資するhASCの提供(質と量を担保できる橋渡し)としての実用化研究へと連結することも終局目標に据えている。そのため、当該年度は、昨年度までにで得られた責任分子や表面マーカーを指標にヒト皮膚組織(含む皮下組織)における局在の解析を行った。その結果、これまで知られたいなかった組織特異的なマーカー候補群を見出した。また、この知見も含み、3Dバイオプリンタを用いた先鋭的な3Dヒト皮膚皮下組織構築系を用いて、興味深い細胞集団クラスタについて組織構造学的な機能の解析を行った。その結果、更に細分化された細胞クラスタ(亜種)が分離されることとなった。そして、これらの機能を有した細胞種に対する細分化に、線維芽細胞種との比較解析が有用である可能性も見出した。そのため、今後に必要な研究指針として、多項群のシングルセル比較解析の実施による高解像度での再分離・解析を掲げるに至った。なお、本件の進展は次期の科研費テーマとして採択をいただいている。以上のように、総じて本研究は最終年度計画の目標も達成することができ、その後の展望も拓けたことから、有意義な研究が計画的に展開されたものと思われる。
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