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2021 年度 実施状況報告書

CtBPが司る遺伝子制御ネットワークの解明:合指症治療標的の同定を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 21K09784
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

藥師寺 那由他  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (70565316)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードCtBP1/2 / ポリコム複合体 / 四肢形成 / レチノイン酸シグナル / 1細胞
研究実績の概要

クロマチン抑制因子ポリコム複合体の共役因子として知られるCtBPを欠損したマウスは、先天性四肢障害である合指症に非常によく似た表現型を示す。合指症はその発症原因がほとんど不明であることから、本研究ではCtBPが制御する遺伝子発現ネットワークを解明することで、CtBPを起点とする合指症発症の機序を理解し、その治療標的を同定することを目的としている。
本年度は遺伝子発現解析からCtBP1/2、ポリコム複合体、レチノイン酸シグナルの共通標的遺伝子として133遺伝子を同定した。これらの遺伝子がどのように相互作用して、遺伝子発現ネットワークを構築しているかは不明であったため、まずは関係性が既にわかっている遺伝子にのみ着目したところ、レチノイン酸関連遺伝子が合指症の原因遺伝子の候補の一つとしてあがった。次に、whole-mount in situ hybridization法を実施し、コントロールおよびCtBP1/2欠損型のマウス10.5日胚と11.5日胚の肢芽におけるこれらの遺伝子の発現状態を解析した。その結果、候補遺伝子群の発現はコントロールの肢芽では11.5日までには消失するのに対して、CtBP1/2欠損型の肢芽では維持されていることがわかった。これらは、CtBP1/2は肢芽においてレチノイン酸レベルを調節することで、手足の正常な形態形成を可能にしていることを示唆するものである。現在この可能性を検証するために、候補遺伝子群の阻害剤を母獣に投与することで、CtBP1/2欠損型胎児の胎仔の表現型が緩和するかどうかを観察しようとしている。また、共通標的遺伝子群として同定した133遺伝子間の発現ネットワークを理解するため、1細胞レベルでの遺伝子発現とクロマチンアクセシビリティの同時解析を進めているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

バルクレベルの遺伝子発現解析の結果からではあるものの、合指症の治療標的の候補遺伝子が見出せた。今後の検証は必要であるものの、これまで合指症発症の原因遺伝子が不明であったことから、表現型の緩和効果に期待ができる。

今後の研究の推進方策

今後は1細胞レベルでの解析を進め、肢芽におけるCtBP1/2の機能を明らかにする。加えて、CtBP1/2、ポリコム複合体、レチノイン酸シグナルの相互作用についての生化学的な解析は、マウス肢芽だけでなく、より均一性の高いマウスES細胞から胚様体への分化誘導系を用いて進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

2021年度に実施予定だった次世代シークエンス解析1回分が、サンプリングの遅延から2022年度実施に延期となったため、未使用額が生じた。現時点でサンプリングは完了し、ライブラリー調整も完了しているため、未使用額は次世代シークエンス解析の使用に充てることとしたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Variant PCGF1-PRC1 links PRC2 recruitment with differentiation-associated transcriptional inactivation at target genes2021

    • 著者名/発表者名
      Sugishita Hiroki、Kondo Takashi、Ito Shinsuke、Nakayama Manabu、Yakushiji-Kaminatsui Nayuta、Kawakami Eiryo、Koseki Yoko、Ohinata Yasuhide、Sharif Jafar、Harachi Mio、Blackledge Neil P.、Klose Robert J.、Koseki Haruhiko
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41467-021-24894-z

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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