研究課題/領域番号 |
21K09791
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
原岡 剛一 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (10623225)
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研究分担者 |
野村 正 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (30529566)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50444592)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 光受容タンパク質 / Melanopsin |
研究実績の概要 |
われわれはヒト皮膚に光受容タンパク質が発現し、この発現はGPCRのセカンドメッセンジャーの1つであるGqを介して、細胞内シグナルへと変換されることを明らかにした。この過程でヒト皮膚の光受容タンパク質の1つであるMelanopsin (以下、OPN4)の発現動態を観察したところ、毛包や脂腺などの付属器にOPN4の強い発現と、Gqの共発現している所見を見出し、外毛根鞘および毛乳頭細胞におけるOPN4およびGnaqの強い発現を認めた。これは、青色光がOPN4を介して細胞内シグナルへと変換されることを示唆している。青色光の照射により、 細胞増殖シグナルであるERK1/2のリン酸化を促進すること、細胞レベルでの生体時計を調節することを見出していることから、青色光の①体内時計と毛周期の連動、②毛乳頭細胞への影響、③毛髪のメラニン保持の促進について検討することとした。 ① 毛髪から、実体顕微鏡下に毛乳頭部分を分離・培養し、毛乳頭細胞・毛母細胞の単離培養を行う。hBmal1およびhPer2遺伝子のプロモーター領域を組み込んだルシフェラーゼ発現ベクターを導入し、培養下にreal-time Luciferase assayを行い、青色光の照射により時計遺伝子の発現がリセットされることを確認した。 ② ①で得られた毛乳頭細胞を利用し、青色光を照射後、ウェスタンブロッティング法によりERK1/2のリン酸化の促進を確認する。次にend-point Luciferase assayを行い、SRF(ERK1/2の下流)の転写促進を確認する。さらにscratch assayおよびBRdU法により、細胞が青色光の照射により増殖することを確認する。③ 青色光によりMITFの転写促進を、real time PCRにより確認する。次に、reporter assayによりtyrosinaseの転写の促進を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抜毛した毛髪から、実体顕微鏡下に毛乳頭部分を分離・培養により毛乳頭細胞・毛母細胞の単離培養を行っており、およそ予定通りの進捗である。
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今後の研究の推進方策 |
hBmal1およびhPer2遺伝子のプロモーター領域を組み込んだルシフェラーゼ発現ベクターを導入し、培養下にreal-time Luciferase assayを行っていく。 その後、青色光の照射により時計遺伝子の発現がリセットされることを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね順調に進行しているが、一部試薬が他の研究課題でも共通で使用することが可能であったことなどにより、経費が削減可能であった。
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