研究課題/領域番号 |
21K09793
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田中 嘉雄 香川大学, 医学部, 客員教授 (50171806)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 再生医療 / 膵島細胞移植 / 器官作製 / 血管付加組織 / in vivo chamber / 人工真皮 / 多血小板血漿(PRP) / bFGF |
研究実績の概要 |
2021年度の研究結果から免疫不全BRJマウスにおいてもin vivo Tissue Engineering Chamber(TEC)内に血管の豊富な肉芽組織が3-4週で再生されることがわかった。膵島細胞移植のrecipientには、3-4週群の再生組織を用いることにした。 2022年度には、東工大から香川大へのiPS誘導膵島細胞の移送方法が解決できないことが判明し、2023年度からは研究方法を以下のように変更した。iPS細胞誘導膵島細胞に代えて、新たな研究モデルとして、免疫不全マウス(BRJマウス)2-4匹の膵臓から膵島細胞を分離・純化して、同じBRJマウスのそけい部に留置したTEC内への移植を行い、その生着を確認することにした。マウスからの膵島分離と純化は滞り無く行えるようになった。現在、4週群のTEC内に形成された肉芽組織に、1mLの注射筒に約300個の膵島細胞(<400μ)を入れ、27G鈍針を用いて注入移植している。しかし、注入量が再生組織に比べて多いため注入液が漏出する問題が生じた。そこで、これまでの方法をdelayed seedin法(予め肉芽組織を再生する方法)とし、新たにimmedialte seeding法を行うことにした。immediate seeding法は、マウスからの膵島分離と純化した膵島細胞300個をエッペンチューブに入れた人工真皮(コラーゲンスポンジ)に吸着させて、1G,1minで遠心して余剰培養液を排液する。コラーゲンスポンジをエッペンチューブから取り出し、bFGF10μgを添加してin vivo TEC内の血管束をその間に挟み込んで移植する。TECの蓋を閉じて創部を閉鎖し、4週後に組織を取り出して、膵島細胞の生着度を組織学的検索を行う。現在、このimmediate seeding法とdelyed seeding法を並行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
まず、東工大からのiPS細胞誘導膵島細胞が入手出来なくなったことで研究方法を変更したことが遅延の要因である。即ち、iPS細胞誘導膵島細胞を用いる代わりに、マウスの膵臓から膵島細胞の分離・純化を行って、これをin vivo TECに移植する方法に変更した。膵島細胞の分離と純化は、この研究を行っていた研究者の協力を得て、円滑に行えるようになった。また、TEC内に血管豊富な組織の再生も再現性を持って行えた。現在の問題点は、膵島細胞の再生組織へ注入移植を確実に行う方法にある。300個の膵島細胞を移植するにはマウスの再生組織が少なく、注入時に液漏れが生じる。このため、移植細胞数の確実性が担保できない。そこで、新たに前述したimmediate seeding法を並行して研究を進めている。以上の理由から研究は遅れていますが、問題点を改善しながら研究は進んでいます。
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今後の研究の推進方策 |
1)immediate seeding法とdelayed seeding法で膵島細胞を移植してその生着を移植後の4週目に組織を取り出して確認する。移植膵島細胞の生着をHE染色で確認後にインスリン染色、グルカゴン染色を行い機能的膵島細胞の生着率を検討する。 2)糖尿病マウスを作製してimmediate seeding法とdelayed seeding法で膵島細胞を移植し、糖尿病治療の効果を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
組織作成依頼数が予定数よりも少なくなったため、次年度使用額が生じました。翌年度分と合わせて、組織標本作成費に使用する予定です。
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