研究課題/領域番号 |
21K09808
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
宮脇 剛司 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (70246445)
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研究分担者 |
宮野 千草 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40868402)
赤石 渉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50815488)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プロジェクションマッピング / プロジェクター / Projection based AR / Augmented Reality / AR / Mixed Reality / MR / 変形外鼻手術 |
研究実績の概要 |
左右対称性を求めるプロジェクションシステムは、変形外鼻手術を主な対象として開発を開始した。手術シミュレーション、3次元形状のセンシング、術前、術中、術後のプロジェクションが主な構成要素となる。本年度は既にこれまで考案した簡易な手術支援法であるGrid Projection Topograhy(以下GPT)法を主目的としたプロジェクター開発を行なった。GPT法は、格子状の画像を斜め方向から投影し、正面から観察することで光切断効果により、等高線様の像を得て観察者が3次元形状を認知しやすくする方法である。 株式会社ジャパンメディカルカンパニーの、小型プロジェクターとコンピューター、一定の角度で投影を行うためのセンサー類を接続した実証機を作成し、その後製品化のための試作機を作成した。 これらの機材の安全性評価として、100lm級のプロジェクターを複数機種用い、一定距離を離した上で照度と温度を計測する試験を実施した。いずれも初期温度のまま定常状態となり、温度上昇は認めず、安全性は高いと考えられた。試作機は市販化に向けてElectro-Magnetic Compatibility(EMC)試験を行った。水平方向で52.8db、垂直方向で62.0dbのノイズが観測され、これは基準値のおよそ1000倍以上の値となった。原因は組み込みプロジェクターと基盤を接続するパラレルケーブルであり、基盤および組み込みプロジェクターの完全再設計が必要であることが判明した。 徒手的な位置あわせ(キャリブレーション)でのプロジェクションマッピングがどの程度の正確性があるかの検証を、骨組織の投影に関して、手の3D透過モデルを用いて検証を行った。40箇所への投影点の計測において、中央値で5-6mm程度の誤差が生じた。 以上の知見に関して、それぞれ学会発表を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Electro-Magnetic Compatibility(EMC)試験において、水平方向で52.8db、垂直方向で62.0dbのノイズが観測され、これは基準値のおよそ1000倍以上の値となった。原因は組み込みプロジェクターと基盤を接続するパラレルケーブルであり、基盤および組み込みプロジェクターの完全再設計が必要であることが判明した。この問題の解決のために、基盤の再設計が必要であり、そのための資金が不十分である見込みである。 共同研究を行なっている株式会社ジャパンメディカルカンパニーの担当者の退職が重なり、業務引継ぎ上の問題が生じ、円滑に開発が進まない事態が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Grid Projection Topographyを主目的とした小型プロジェクター、および周辺機器によるシステム開発を継続する。実証機に対してElectro-Magnetic Compatibility(EMC)試験を行い、こちらにより市販化を目指す。 並行して、手術シミュレーションが実際の手術にどの程度利用できるかの評価、3次元形状のセンシング法の検討を行う。手術シミュレーションに関しては、投影を行い利用する前に、樹脂を利用して透過3次元鋳型モデルを作成し、圧着することで差分を術者が観測する方法を今後応用し、有用性の評価を行う方針である。 3次元形状のセンシング法の検討としての深度計、ステレオカメラ法などの方式でどの方法が優れているかの比較を行い、今後全体のシステムを構築するための知見を蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
小型プロジェクター開発において、EMC試験結果が不良であり、商品試作機開発遅延に伴い、予定されていた開発費が計上されなかった。現在改良を行い新たな機械の開発を行なっており、その経費として次年度以降に支出を見込んでいる。 今後新たに予定している術前シミュレーションから透過型3D鋳型モデルを作成する際にも、遅延により生じた繰越金の使用を行う予定である。
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