研究課題
本年度は昨年度に引続き、(1)セプトクラストと血管系の形態学的関係の解析と(2)セプトクラストの分化・増殖因子の解明に関る実験に加えて、(3)軟骨内骨化の普遍的構造としてのセプトクラストの存在、についての解析を行った。(1)脛骨近位骨端板の骨軟骨境界部では、セプトクラストと血管内皮細胞の間に基底膜は断裂して不連続であるのに対し、直下のペリサイト(血管周皮細胞)と血管内皮細胞の間には連続した基底膜が存在することがわかった。セプトクラストの基底膜の不連続性は同部に特異的で、セプトクラスにより開放された軟骨小腔への毛細血管の進入との関連が強く示唆され、セプトクラストによる軟骨基質貪食と毛細血管伸長が連動していることが強く示唆された。(2)骨端板組織から、セプトクラストとペリサイトが共にplatelet-derived growth factor receptor-β(PDGFRβ)が陽性で、セプトクラストのみがさらにインテグリンα2が共陽(ペリサイトはインテグリンα2陰性)であることを応用し、セルソーティングによりPDGFRβ陽性細胞からインテグリンα2共陽細胞をほぼ単離できた。単離した細胞はセプトクラストのマーカーのepidermal type-fatty acid binding protein (E-FABP)とcathepsin Bの発現が特に強いことも分った。現在、同細胞に特異的な他の遺伝子変動について解析中である。(3)マウスでは、成長期に軟骨内骨が急速に進行して閉鎖する頭蓋底軟骨と、二次軟骨である顎関節の下顎頭軟骨について免疫組織化学的に調べ、両部にもセプトクラストが存在することが分った。しかし、骨端板と比較してその細胞形態や分布様式・密度には特異性が認められたので、詳細の解析を進めている。
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Journal of Oral Biosciences
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