研究課題/領域番号 |
21K09831
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
瀬田 祐司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90291616)
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研究分担者 |
豊野 孝 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10311929)
中富 満城 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (10571771)
松山 佳永 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (10848360)
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40316154)
片岡 真司 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (80364149)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 味蕾 / オルガノイド / 間葉系細胞 / 発生・分化 |
研究実績の概要 |
令和4年度では、昨年度に引き続き、味蕾内の間葉系細胞(Twist2陽性細胞)の局在とその細胞系譜の検索並びに発生期における味蕾内間葉系細胞の検索を行った。 1.Twist2Cre/CAG-floxed-tdTomatoマウスを作製し、作製したマウスの葉状乳頭・茸状乳頭味蕾・軟口蓋味蕾におけるTwist2発現細胞と味蕾細胞の各マーカーとの局在を検索した。昨年度の有郭乳頭味蕾における結果と同様に、葉状乳頭・茸状乳頭味蕾・軟口蓋味蕾においても、間葉系細胞由来のTwist2発現細胞が味蕾で観察された。また、、味蕾の各細胞型のマーカーとの2重染色を行うと、味蕾内のTwist2陽性細胞は、全ての細胞型のマーカーとの共発現が認められた。これらの結果から、味蕾を構成する細胞中には、間葉系由来の細胞が存在し、味蕾内で全ての細胞型に分化する可能性が示唆され た。 2.Twist2-CreERT2 /CAG-floxed-tdTomatoマウスを交配させ、妊娠マウスを作製する。 作製した妊娠マウスの生後0日から有郭乳頭溝上皮内でのTwist2発現細胞の動態を検索を行った。有郭乳頭が明確に観察できる胎生14日以降の有郭乳頭上皮では、Twist2発現細胞の存在を確認することができなかった。しかしながら生後7日目以降の有郭乳頭上皮において、Twist2陽性細胞の存在を確認することができた。この事から間葉系細胞が味蕾内に侵入するのは、生後7日目以降に起こっている可能性が推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度もCOVID-19の影響のためと、動物実験施設の工事のために動物実験が制限されたために、遺伝子改変マウスからのオルガノイド作製のための実験が十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、発生期における味蕾内間葉系細胞の検索とオルガノイドを利用した機能解析を予定している。 1.発生期における味蕾内間葉系細胞の検索 ①Twist2-Cre /CAG-floxed-tdTomatoマウスを交配させ、妊娠マウスを作製する。 ②①で作製した妊娠マウスから胎仔ならびに出生マウスを利用して、胎生14日から生後10日まで有郭乳頭溝上皮内でのTwist2発現細胞の動態を詳細に検索する。 2.味蕾オルガノイドにおける間葉系細胞の機能検索 ①Twist2-Cre /CAG-floxed-tdTomatoマウスの有郭乳頭からTwist2発現細胞を単離する。 ②味蕾オルガノイドにTwist2発現細胞を添加し、オルガノイドにおける味蕾細胞のマーカーの発現ならびに味蕾オルガノイドの形態形成の変化の有無を検索する。 ③Twist2発現細胞添加オルガノイド培養培地に添加する外的因子の検討。味蕾細胞の分化に必要な因子(EGF/Noggin/R-spondin1)のほかに、Wnt, BMP, SHHなどの味蕾細胞の分化に関係する外的因子をそれぞれ添加し、基本培地との差を味蕾細胞マーカーの発現により検討する。 ④さらに外的因子添加群と基本培地のオルガノイドにおける遺伝子発現の差をPCR-arrayを利用して検索する。 ⑤外的因子のシグナル伝達系の阻害剤投与によるオルガノイドにおける味蕾細胞マーカー発現への影響を検索する。
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