研究課題/領域番号 |
21K09837
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 志典 東北大学, 大学病院, 講師 (60637958)
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研究分担者 |
水田 健太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40455796)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 舌下免疫療法 / 樹状細胞 / 制御性 T 細胞 / 免疫寛容 |
研究実績の概要 |
舌下免疫療法は抗原(アレルゲン)を舌下粘膜から吸収させ、体質の改善を図る根本的なアレルギー治療法である。花粉症などアレルギー性鼻炎の治療法として普及しているが、現行のプロトコールでは数年に渡り毎日の舌下投与が必要である。本研究では、マウスモデルを用いて、舌下免疫療法の効果を増強させて治療期間の短縮を図る手法の開発を目指す。具体的には、口腔樹状細胞による制御性 T 細胞誘導を強化する免疫賦活剤として活性型ビタミン D3 やレチノイン酸などを検討する。 予備的検討で、週 2 回の舌下免疫療法で既に確立された皮膚の遅延型過敏症に対して治療効果を得るには、8 週間以上を要することが分かった。舌下液に活性型ビタミン D3 を添加することにより、治療期間を 3 週間に短縮することができた。現在、アレルギー性鼻炎や食物アレルギーに対して有効な免疫賦活剤の検討を進めている。 本研究では、口腔樹状細胞を標的とした免疫賦活剤を使用することで、舌下免疫療法による制御性 T 細胞誘導を促進するだけでなく、その体内動態を変化させ、制御性 T 細胞を炎症部位に効率的に移行させられるようになるとの仮説を立てている。この仮説を検証するための予備的検討として、舌下免疫療法後、どの組織にアレルギー抑制可能な制御性 T 細胞が局在するかを制御性 T 細胞の移入実験により検討した。その結果、レシピエントマウスにおいて皮膚の遅延型過敏症を抑制可能な制御性 T 細胞は、舌下免疫療法を施されたドナーマウスにおいて、主に顎下リンパ節や腸管膜リンパ節に分布していることが示された。今後、免疫賦活剤が舌下免疫療法後の制御性 T 細胞分布に与える影響について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌下免疫療法の免疫賦活剤の検討は予定通りに進んでいる。また、舌下免疫療法後の制御性 T 細胞体内分布について予備的検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
皮膚の遅延型過敏症に加え、アレルギー性鼻炎や食物アレルギーに対しても、舌下免疫療法の免疫賦活剤の検討を進める。さらに、免疫賦活剤が舌下免疫療法の効果を増強するメカニズムについて解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため国内旅費を使用しなかった。次年度使用額は、試薬類や実験用動物の購入費として用いて実験の充実を図る。
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