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2023 年度 実施状況報告書

歯周病菌が産生するプロテアーゼによる宿主細胞応答撹乱と歯周組織破壊の分子理解

研究課題

研究課題/領域番号 21K09842
研究機関岡山大学

研究代表者

中山 真彰  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10579105)

研究分担者 大森 一弘  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20549860)
大原 直也  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70223930)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード歯周病細菌 / 歯周炎 / 細胞内カルシウム / PLC
研究実績の概要

本研究の目的は,「歯周病原細菌と宿主細胞間で起こる感染現象の分子基盤を細胞・分子生物学的アプローチにより構築し,歯周病菌が産生する病原性プロテ アーゼの機能解析を行ない、歯周病の発症機序を解明する」ことである。本申請研究では歯周病細菌の感染による歯周病発症と病態形成機序を解明するために、 歯周病細菌Porphyromonas gingivalis (P. gingivalis)が産生する病原因子であるプロテアーゼ「ジンジパイン」に着目し、宿主細胞の主要なシグナル伝達経路 の撹乱機構を中心に分子解析を行なう。これまでの研究では、歯周病の発症におけるジンジパインの役割を調べるために、ジンジパイン完全欠損株とその野生株 を用いた感染実験による比較解析を行ない、歯周組織の炎症で発現がみられるCOX-2やPGE2の産生について調べた。P. gingivalisのLPSや線毛がCOX-2発現や PGE2産生に関与することは知られていたが、ジンジパインが発現誘導に関わる因子であることは報告がなかった。我々の結果から、本菌が産生するジンジパイン はLPSや線毛よりも強くCOX-2発現やPGE2産生を誘導することを明らかにした。またジンジパインによるCOX-2発現の分子機序について宿主細胞応答を調べたとこ ろ、ERKとIKKの2つのシグナル伝達経路の活性化とそれぞれ転写因子c-Jun/c-FosとNF-kBp65の活性化が重要であることを示し、さらには細胞内カルシウムの重要 性とカルシウムチャネルTRPCファミリー、またさらにはPLCの関与を明らかにした。今後は、COX-2発現と PGE2産生に繋がる上流因子の分子解析を行ない、ジンジパインが作用する細胞膜上の入り口となる因子の解析を行な う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書に沿って予定項目の研究内容を遂行し、結果を得られているため。また関連する細胞膜上にあるカルシウムチャネルやそれにつながる酵素PLCが関わっていることを示唆する結果を得た。これらの結果について論文執筆も進んでいる。以上のことから、計画に沿って順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本研究の目的では歯周病細菌の感染による歯周病発症と病態形成機序を解明するために、 歯周病細菌Porphyromonas gingivalis が産生するシステインプロテ アーゼ「ジンジパイン」に着目し、宿主細胞の主要なシグナル伝達経路の撹乱機構を中心に分子解析を行なう。これまでの研究では、本菌が産生するジンジパ インによるCOX-2発現誘導の分子機序について宿主細胞応答を調べ、ERKとIKKの2つのシグナル伝達経路の活性化とそれぞれ転写因子c-Jun/c-FosとNF-kBp65の活性化が重要であることを示し、さらには細胞内カルシウムの重要性とカルシウムチャネルTRPCファミリーの関与を明らかにした。
さらには、細胞膜近傍に存在するPLCの関与を示唆する結果が得られており、PLCとTRPCファミリーとの関係性を調べ、COX-2発現と PGE2産生に繋がるジンジパインの作用する細胞膜上の入り口となる因子の解析を行な う。
これを元に今後の研究では、COX-2発現と PGE2産生に繋がる上流因子の分子解析、特にTRPCファミリーの中のどのTRPCチャネルが関与しているのか、PLCもファミリーが多いがどのPLCであるのかの決定を行ない、ジンジパインが作用する細胞膜上の入り口となる因子の解析を行なう。

次年度使用額が生じた理由

本研究は以前から継続した研究であり、前回の研究費との兼ね合いから今年度の進捗が効率的に進み、結果も得られたため次年度への使用額が生じた。次年度は、ジンジパインによるCOX-2発現における分子解析として、TRPCファミリーやPLCの解析および遺伝子発現をリアルタイムqPCR法にて解析するために使用する予定であ る。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The Fungal Metabolite (+)-Terrein Abrogates Inflammatory Bone Resorption via the Suppression of TNF-α Production in a Ligature-Induced Periodontitis Mouse Model2023

    • 著者名/発表者名
      Hidefumi Sako, Kazuhiro Omori, Masaaki Nakayama, Hiroki Mandai, Hidetaka Ideguchi, Saki Yoshimura-Nakagawa, Kyosuke Sakaida, Chiaki Nagata-Kamei, Hiroya Kobayashi, Satoki Ishii, Mitsuaki Ono, Soichiro Ibaragi, Tadashi Yamamoto, Seiji Suga, and Shogo Takashiba
    • 雑誌名

      Journal of Fungi

      巻: 9 ページ: 314-426

    • DOI

      10.3390/jof9030314

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Novel iron chelators, super-polyphenols, show antimicrobial effects against cariogenic Streptococcus mutans2023

    • 著者名/発表者名
      Yuki Shinoda-Ito, Kazuhiro Omori, Takashi Ito, Masaaki Nakayama, Atsushi Ikeda, Masahiro Ito, Toshiaki Ohara, and Shogo Takashiba
    • 雑誌名

      Antibiotics (Basel)

      巻: 12 ページ: 1562-1574

    • DOI

      10.3390/antibiotics12111562.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Porphyromonas gingivalis ジンジパインによるphospholipase Cの活性化と歯周組織の炎症との関連性2023

    • 著者名/発表者名
      中山 真彰, 内藤 真理子, 中山 浩次, 大原 直也
    • 学会等名
      第65回歯科基礎医学会学術大会
  • [学会発表] 葉酸代謝系酵素の発現量が抗結核薬パラアミノサリチル酸に対する感受性に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      中山 真彰, 有村 友紀, 竜門 亜矢子, 中島 千絵, 鈴木 定彦, 大原 直也
    • 学会等名
      第76回日本細菌学会中国・四国支部総会
  • [学会発表] in vitro感染細胞を用いた薬剤耐性結核および非結核性抗酸菌症に対する治療薬の探索研究2023

    • 著者名/発表者名
      瀧井 猛将, 岩月 正人, 山口 智之, 君嶋 葵, 渡邊 善洋, 中山 真彰, 大原 直也, 浅見 行弘
    • 学会等名
      第7回抗酸菌研究会

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公開日: 2024-12-25  

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