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2021 年度 実施状況報告書

HSP40ファミリーと変異p53間の相互作用を標的とした新規癌治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09855
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

戒田 篤志  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40632097)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード頭頸部がん / p53変異 / Gain of function / HSP40ファミリー
研究実績の概要

頭頸部癌をはじめとする多くの種類の癌では、p53に変異が生じていることが知られているが、変異p53は癌の発生に関与するのみならず、その蓄積が癌の進行を促進することが知られている。しかしながら、何故、細胞内で変異p53が安定化し、蓄積するかについては不明な点が多かった。私たちのグループでは、最近、変異p53の蓄積メカニズムとしてHSP40ファミリーのひとつであるDNAJA1が構造変異型p53と結合し、変異p53を安定化させることを見出し、その結果、癌の転移を促進することを明らかにした。しかし、HSP40ファミリーには50種類以上のアイソフォームが存在し、DNAJA1以外のHSP40が変異p53を安定化する可能性は未だ明らかになっていない。本研究課題では、変異p53を安定化するHSP40を明らかにし、変異p53との相互作用を阻害する化合物を同定することで、新規癌治療法の開発を目指す。
私たちは、HSP40スクリーニングシステムを構築するために、変異p53を蛍光標識することでその発現レベルを蛍光強度から可視化し得るベクターの作製を試みた。p53のアミノ酸175番目のArgをHisに変えた変異p53配列のN末端またはC末端にAcGFPを融合したプラスミドを作製し、p53ノックアウト細胞に導入した。いずれもp53を緑色シグナルとして検出でき、そのシグナル分布は、抗p53抗体での免疫染色結果と一致するものであった。更なるvalidationのために、siRNAにてDNAJA1をノックダウンすることでp53シグナルの減弱が観察されるかを評価したところ、C末にGFPを融合させたベクターでは緑色強度の減弱が認められたが、N末に融合させたベクターでは顕著なシグナルの低下は認められなかった。そこで、今後の実験では、変異p53のC末端にGFPを融合させたベクターを用いて検討を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題において、スクリーニングシステムの構築が重要な第一段階であったが、まずは予定通り、変異p53の可視化システムが作製できたことから、当該年度はおおむね順調と判断した。

今後の研究の推進方策

変異p53(R175H)に加え、他のミスセンス変異体との融合ベクターも構築し、p53の変異の違いにおけるHSP40の役割についても検討していきたいと考えている。今後は、構築したスクリーニングシステムを応用し、HSP40ファミリーを標的としたsiRNAライブラリーを用い、変異p53の安定化に寄与し得るHSP40を同定していく予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Children's Mercy Research Institute(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Children's Mercy Research Institute
  • [雑誌論文] DNAJA1 promotes cancer metastasis through interaction with mutant p532021

    • 著者名/発表者名
      Kaida Atsushi、Yamamoto Satomi、Parrales Alejandro、Young Eric D.、Ranjan Atul、Alalem Mohamed A.、Morita Kei-ichi、Oikawa Yu、Harada Hiroyuki、Ikeda Tohru、Thomas Sufi M.、Diaz Francisco j.、Iwakuma Tomoo
    • 雑誌名

      Oncogene

      巻: 40 ページ: 5013~5025

    • DOI

      10.1038/s41388-021-01921-3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Regulation of p53 and Cancer Signaling by Heat Shock Protein 40/J-Domain Protein Family Members2021

    • 著者名/発表者名
      Kaida Atsushi、Iwakuma Tomoo
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 13527~13527

    • DOI

      10.3390/ijms222413527

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] HSP40ファミリーDNAJA1と変異p53間のinteractionを介した癌転移促進機構2021

    • 著者名/発表者名
      戒田 篤志、三浦 雅彦
    • 学会等名
      日本歯科放射線学会第232回関東地方会・第40回北日本地方会・第28回合同地方会
  • [学会発表] DNAJA1 promotes cancer metastasis through the interaction with misfolded mutant p532021

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Kaida, Satomi Yamamoto, Atul Ranjan, Alejandro Parrales, Mohamed Alalem, Tomoo Iwakuma
    • 学会等名
      2nd International Conference “Cancer Metastasis”
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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