研究実績の概要 |
今年度は、昨年度確立したSPFおよび無菌マウスのクレブシエラ腸管定着マウスモデルを用いて、糖の取込み機構の1つであるマンノースホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)の腸管への定着に及ぼす影響を解明することとした。初めに昨年に引き続き、マンノースPTSが腸管定着における競争上の優位性となるか、SPFクレブシエラ腸管定着マウスおよびクレブシエラgnotobioteマウスを用いてcompetitive assay(競合的コロニー形成法)で検討した。クレブシエラ菌野生株(WT)とマンノースPTS欠損株(KO)を等量混和し、マウスに感染後、1,3,7,14,21日後の糞便を回収し、マンノース分解能を指標とした寒天平板でWT,KOの菌数を求め、Competitive index(CI)=ratio out (KO/WT)/ratio in (KO/WT) CI<1:WT優位 CI>1:KO優位 で判定した。クレブシエラgnotobioteマウスでは、感染14,21日後はCI=0.52(p=0.0005),0.19(p=0.00018)となった。SPFクレブシエラ腸管定着マウスでは、感染3,7,14,21日後でCI=0.47(p=0.002), 0.29(p=0.0007), 0.18(p=0.0003), 0.15(p=0.0004)となり、SPF,gnotobiote共にWTが優位となり、マンノースPTSが腸管への定着に関与することが示された。 続いて、腸管の免疫応答を解析するために、SPFクレブシエラ腸管定着マウスの腸管上皮間リンパ球および粘膜固有層リンパ球を採取し、CD3抗体、CD4抗体、CD45抗体、IFN-gamma抗体、IL17A/F抗体で染色し、FACS解析でTh1, Th17応答を解析を行っている。
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