研究実績の概要 |
本研究では、腸管由来の糖とその取り込み機構であるホスホトランsフェラーゼシステム(PTS)に着目し、クレブシエラ菌の腸管への定着機構の解明と、腸管内での免疫調節機構を解析することを目的とした。昨年度までにクレブシエラ菌のマンノースホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)が腸管定着に重要な因子であることを明らかにした。今年度はクレブシエラ腸管定着モデルマウスを用いて、感染時の腸管免疫応答を解析した。 これまでに確立したSPFマウスのクレブシエラ腸管定着マウスモデルを用いて、クレブシエラ菌野生株(WT)感染群およびマンノースPTS遺伝子欠損株(KO)感染群を作製した。感染7日後、14日後の大腸粘膜固有層リンパ球を採取し、CD3抗体、CD4抗体、CD45抗体、IFN-gamma抗体、IL17A/F抗体で染色後、FACS解析で腸管のTh1, Th17応答を解析した。その結果、Th1細胞はWT, KO感染群共に7日後から優位に誘導されたが、WT感染群とKO感染群で有意差は認められなかった。Th17細胞も同様で、WT, KO感染群共に7日後から優位に誘導されたが、WT感染群とKO感染群で有意差は認められなかった。現在、無菌マウスを繁殖させ、腸管に常在細菌が存在しない環境下でWT, KOを感染させた場合の免疫応答について解析中である。 続いて、本研究を遂行する過程で、糖を代謝して菌体外高分子物質を産生していることがわかり、現在表面性状等の解析を行っている。
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