研究課題
転移は口腔癌の予後不良因子である。多段階からなるステップを経て成立する転移を解析するためには、適切な「癌細胞モデル」と「動物実験モデル」が必要である。本研究は癌細胞モデルとして高転移能を有する口腔癌細胞株を使用し、転移に関与する遺伝子の発現・ネットワークを解析する。また動物実験モデルとして、鶏卵漿尿膜移植法(Chorioallantoic Membrane Assay: CAM assay)を確立する。本研究の目的は、これらの癌細胞モデルと動物実験モデルを組み合わせて口腔癌転移の治療標的分子を同定することである。癌細胞は転移の過程で脈管に侵入すると足場との接着を失って、脈管内では浮遊状態となる。浮遊状態のストレスに耐えることができる癌細胞が遠隔臓器へ到達すると考えられる。そこで本年度は浮遊状態に適応した口腔癌細胞を樹立することを目指した。口腔癌細胞株HSC-3を低接着プレートで培養し、生存した細胞のみ選択して樹立した細胞をHSC-3-S5細胞と名付けた。HSC-3細胞とHSC-3-S5細胞のトランスクリプトームを比較すると、HSC-3-S5細胞で転移や幹細胞に関わる遺伝子の発現が増加していることが明らかになった。前年度まではHSC-3細胞からin vivo screeningで樹立された高転移能株HSC-3-M3細胞を用いて鶏卵漿尿膜移植法を行っていたが、鶏卵漿尿膜移植法での転移が確認されなかった。本年度はHSC-3-M3細胞に加えHSC-3-S5細胞を用いて転移能の評価を行っている。また漿尿膜上への細胞移植だけでなく、血管内へ癌細胞を直接移植する方法も確立した。
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