研究課題/領域番号 |
21K09868
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
向阪 幸彦 東北大学, 大学病院, 医員 (10760457)
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研究分担者 |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
丸山 顕太郎 東北大学, 大学病院, 医員 (80833805)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯学 / 再生医療 / シグナル伝達 / エクソソーム / RANKL / Wnt |
研究実績の概要 |
エクソソームは、細胞から分泌される膜小胞であり、タンパク質のみならずメッセンジャーRNAやマイクロRNAなども含めた膨大な情報伝達物質を他の細胞に伝達する役割がある。近年、破骨細胞が分泌するエクソソーム上に発現しているRANKが、骨芽細胞のRANKLと結合することで骨芽細胞の分化を誘導することが報告されている。一方でセメント質の研究に関しては、セメント芽細胞が発現しているRANKLが破骨細胞のRANKを介して破骨細胞分化を誘導することが報告されているが、破骨細胞由来のエクソソームがセメント芽細胞分化に与える影響については報告が皆無である。本研究の目的は、破骨細胞由来のRANK発現エクソソームによるセメント芽細胞の分化誘導を検証することである。 今年度はRANK模倣ペプチドWP9QYを用いてRANKがセメント芽細胞に与える作用について検証した。マウス骨芽細胞株MC3T3-E1およびマウスセメント芽細胞株OCCM-30をそれぞれWP9QY存在下にて骨分化誘導培地を用いて5日間培養し、それぞれの細胞のアルカリフォスファターゼ活性を解析した。MC3T3-E1ではWP9QYよってアルカリフォスファターゼ活性が亢進した一方で、OCCM-30ではアルカリフォスファターゼ活性の抑制が認められ、硬組織形成細胞でも組織間でのRANKL逆シグナルの反応性の違いが示唆された。 次年度はRANKLやそのデコイ受容体であるOPGの発現誘導あるいは抑制を行った条件下でのWP9QYあるいは破骨細胞由来エクソソームの作用を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はRANK模倣ペプチドWP9QYによる分泌誘導の解析をマウス骨芽細胞およびマウスセメント芽細胞を用いて行ったところ、マウス骨芽細胞にて認められたアルカリフォスファターゼ活性の亢進とは対象的に、マウスセメント芽細胞ではWP9QYによるアルカリフォスファターゼ活性の抑制が認められた。この知見をもとに細胞種間で異なる硬組織形成誘導能の解析を次年度の継続課題とすることができるので、現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
WP9QYを用いてセメント芽細胞でのRANKL逆シグナルのシグナル解析を進め、破骨細胞由来のRANK発現エクソソームによるセメント芽細胞分化の調節機構を解析することが今後の研究の目標となる。
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