研究課題/領域番号 |
21K09872
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 奈々子 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (10780819)
|
研究分担者 |
高橋 雄介 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60397693)
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 薬剤耐性 |
研究実績の概要 |
本年度は、ゲノム情報の取得が容易なEnterococcus faecalis ATCC29212を新たに入手し、まず、最小発育阻止濃度測定によるE. faecalis ATCC29212の耐性獲得の評価を行った。E. faecalis ATCC29212の菌液を2 x 10(7) CFU/mLに調整し、クロルヘキシジン塩酸塩の最小発育阻止濃度測定値をmicro dilution assayにて測定した。 続いて、MIC判定時に増殖が認められたもののうち、最大濃度のクロルヘキシジン塩酸塩を含む細菌懸濁液を用いて2 x 10(7) CFU/mLの菌液を再度調整し、28回まで最小発育阻止濃度測定を繰り返した。その結果、E. faecalis ATCC29212をクロルヘキシジン塩酸塩に1回暴露させた後のE. faecalis ATCC29212に対するクロルヘキシジンの最小発育阻止濃度は2μg/mLであったのに対して、14回連続暴露させた後の最小発育阻止濃度は8~12μg/mLにまで増加した。さらに、クロルヘキシジン塩酸塩への暴露を繰り返し続けることにより、E. faecalis ATCC29212に対するクロルヘキシジンの最小発育阻止濃度は増加し、28回連続暴露後には最大で54μg/mLにまで最小発育阻止濃度が増加した。28回目の最小発育阻止濃度測定時に増殖が認められた最大濃度のをクロルヘキシジン塩酸塩を含む細菌懸濁液を回収し、さらに24時間培養したものをクロルヘキシジン耐性E. faecalis ATCC29212株としてストックした。 さらに、耐性獲得による形態の変化は確認するため、走査型電子顕微鏡を用いてクロルヘキシジン耐性E. faecalis株の形態を観察したところ、耐性株の形態は野生株と変わらなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究実施計画に則り、クロルヘキシジン耐性E. faecalis ATCC29212株の作成に成功し、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度に得られた結果に基づいて、耐性獲得によるE. faecalisの増殖に与える影響を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
E. faecalis ATCC29212耐性株の作成に時間を要し、当初計画していたクロルヘキシジン耐性獲得によるE. faecalisの増殖に与える影響の検討に関する実験を行えず、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し、培地や試薬等の購入に使用する。
|