令和5年度は、CAD/CAM材料に対するシランカップリング(SC)処理へのレーザー照射が、コンポジットレジン(CR)の接着強さに及ぼす影響について検討した。 2種類のCAD/CAMブロック(Cerasmart 300、以下CS 、Vita Enamic、以下EN)を板状に切断し、被着面を湿潤研磨後、超音波洗浄した。被着面処理は、コントロール(C)群:SC 処理→ボンディング、レーザー群(L):SC 処理→半導体レーザー照射(波長810nm):出力3.0W、5.0W、7.0W(L3、L5、L7)、照射時間60秒、距離1.0mm→ボンディングとした。ブロックの種類と被着面処理法を組合せにより計8群を評価した(各n=10)。処理面に設置した円柱モールドにフロアブルCRを積層で填塞後、24時間保管後に剪断試験を行った。得られたデータは一元配置分散分析、Dunnett検定、t検定、Mann-Whitney U testを用いて各々検定した(α=0.05)。破断面を実体顕微鏡と走査電子顕微鏡を用いて観察し、接着破壊様式を判定した。その結果、CSはL7、ENはL7で最も高い接着強さが得られたため、次いでサーマルサイクル(TC)負荷を与えた。TC負荷後の接着強さ(MPa)は、CSC:6.69(1.39)、CS7:9.07(1.99)、ENC:8.55(1.36)、EN7:8.29(2.82)で、CSではCSL7が統計学的有意に高い接着強さを示した。一方、ENでは有意差を認めなかった。 CAD/CAMブロックのSC処理面への半導体レーザー照射は、照射面の加熱によりSCが活性化した結果、接着強さが向上したものと考えられた。また、SC処理の加熱による活性化には7W程度の出力が必要であることが明らかとなった。特にCSL7はTC負荷後も対照群と比較して有意に高い接着強さを示した。
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