研究実績の概要 |
妊娠中は、叢生などプラークコントロールが難しい部位において、歯肉炎発症の頻度が高いことからデンタルプラークが大きく関わっていると考えられる。また、妊娠関連歯肉炎の母胎および胎児への悪影響が取り上げられるが、妊娠関連歯肉炎と一般的な歯肉炎との違いについては、まだ、不明な部分が多く、妊娠関連歯肉炎の発症メカニズムの解明が必要である。 本研究では、歯肉に炎症が認められた妊婦において、炎症が無い部位と歯肉炎の部位それぞれから、歯周ポケット内から細菌を抽出し、DNA抽出後、16SrRNA V2,3,4,6,7,8,9領域の配列をシークエンサーにより読み取り、それぞれのポケット内に存在する細菌の種類、数および構成比の比較を行い、妊娠関連歯肉炎の原因菌の特定につなげる。炎症部位では、Fusobacterium nucleatum、Lautropia mirabilisやNeisseria cinereaの増加が、Neisseria sicca、Streptococcus oralisやRothia dentocariosaの減少が認められた。妊娠関連歯肉炎の原因菌とされてきたPrevotella intermediaについては、炎症部位において明らかな増加は認められなかった。 さらに、公共データベースから遺伝子発現データを収集し、バイオインフォマティクスの手法により関連すると推測される遺伝子を、また、PubMedなどを用いた文献の自然言語処理による情報を集約し、妊娠関連歯肉炎の関連因子の検討を進めている。今後、少数の患者からサンプリングを行い、検証を行う。
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