研究課題
口腔と胃は食道を通じてつながり合う近接した医療領域であるが、医科・歯科では別々の患者を対象に診療や臨床研究が行われているため、同領域における診療体制や臨床研究に連携不足が生じることがある。また、口腔疾患同様、胃食道逆流疾患も、食道粘膜傷害を有する逆流性食道炎だけではなく、同粘膜傷害を有さない非びらん性胃食道逆流症(NERD)など多様性を呈するため、多様性をも考慮した両疾患の関連性を検討する場合には、医科・歯科各々専門家による連携が必須となる。このため、胃食道逆流症疾患(GERD)ならびに歯の酸蝕症における、各々の症状(重症度)や多様性に応じた関連性は不明な点が多い。そこで本研究では、胃食道逆流症疾患(GERD)と歯の酸蝕症との関連性の解明と、同領域における医科歯科連携の構築を目指し、同一被験者を対象として、医科による内視鏡検査、歯科による口腔内評価を実施する。また両疾患ともに、生活習慣・唾液保護作用が重要であることから、医科・歯科共同の生活習慣のアンケート調査ならびに唾液検査を行う。本研究より、胃食道逆流症疾患・酸蝕症の罹患有無および両疾患の重症度・多様性を考慮した関連性が明らかになれば口腔・胃食道領域における医科歯科連携構築が進む。また、両疾患ともに生活習慣ならびに唾液による保護作用が重要であることから、生活習慣調査および唾液検査を実施する。両疾患のリスク因子や重症度を示す生活習慣調査・唾液データが構築できれば、医療者は勿論、医科患者だけでなく、歯科患者にも有益な疾患予防情報が提供されるため波及効果が期待できる。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍における臨床研究のため、感染状況に応じて中断を余儀なくされることがあるが、感染対策を講じた上で断続的に研究は進められている。医科・歯科臨床データ、生活習慣調査および唾液検査に関し、当初の目標集積症例数300症例に対し、現在までに200症例集積している。ただし、被験者が自宅で複数回唾液採取し、来院治に持参する必要がある唾液ペプシン濃度評価は、コロナ感染対策の観点からその実施が見送られており、次年度以降の実施・評価開始が待たれている。
前述の通り、コロナ禍における臨床研究のため、感染状況に応じて中断を余儀なくされることがある。また、被験者が自宅で複数回唾液採取し、来院治に持参する必要がある唾液ペプシン濃度評価は、コロナ感染対策の観点からその実施が見送られており、次年度以降の実施・評価開始が待たれている。今後の感染状況次第では、再度臨床研究自体を中断せざるをえないが、可能な範囲で実施可能な臨床研究を継続し、採取可能な各種データの分析・考察を進める。また、感染状況が落ち着き、被験者の同意が得られる様であれば、唾液ペプシン濃度評価も実施する。その後、学会発表を行い、論文作成・投稿を目指したい。
研究分担者が今年度分担金全額未執行のため。次年度は計画通りに執行予定。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件)
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