研究課題/領域番号 |
21K09890
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
海老原 新 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60251534)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | NiTiファイル / シミュレーション / 根管形成 / 歯内治療 |
研究実績の概要 |
2021年度は3本の国際雑誌に掲載され、2本が投稿中である。まず、ヒト抜去下顎大臼歯近心根管を用いた。ニッケルチタンファイルによるグライドパス形成を連続回転、トルク依存型往復回転、時間依存型往復回転の3種類の回転様式で自作型根管形成装置を用い、形成用、根管の移動、根管形成時のトルクおよび垂直荷重について評価した。時間依存型往復回転では、トルクが有意に少ないが、歯冠側方向の荷重が大きかった。ファイルの損耗が少なかった。連続回転に比較し、往復回転運動は根管形態を維持した。 ラジアルランドといわれるファイルの形態が根管形成に及ぼす影響について、自作型根管形成装置を用いて検討した。根管模型の形成をラジアルランドの有る、あるいは無いのみが違うニッケルチタンファイルで行い、根管の偏移、トルク、垂直荷重について検討した。根管の偏移についてはラジアルランドの有無による影響はなかった。ラジアルランドが有る場合、トルクや歯冠側方向への垂直荷重が有意に少なく、根尖方向への垂直荷重が大きかった。 ニッケルチタンファイルの熱処理による効果を検討するために同形状で熱処理の有り無しのファイルの機械的特性を検討した。その結果、熱処理により曲げ荷重現象および周期疲労の減少が認められた。 本研究で用いている自作型根管形成装置はすでに改造を行い、一定スピードによる根管形成から一定荷重での形成と、より臨床条件に近い装置になっている。この改造に関する論文は現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は緊急事態宣言、あるいは蔓延防止策が行われているため、学会交流も限定された。学内においてもグループ内の対面のミーティングは行っていないため、コミュニケーション不足であることは否めない。しかしながら、成果は上がっており研究第2年度はさらに研究が進むものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で用いている自作型根管形成装置はすでに改造を行い、一定スピードによる根管形成から一定荷重での形成と、より臨床条件に近い装置になっている。この改造について現在論文投稿中である。これにより、術者の感覚により処置を行っている現状を改善できるものと考え、研究2年度においてさらに臨床条件を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けたため、研究活動の制限、学会活動の制限を受けたことにより、当初の計画に比較して研究活動が減少した。そのため旅費の支出がなかった。また、研究活動も縮小し、論文執筆活動が主なものであった。2022年度についてはこの分の研究を行う予定である。
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