研究課題/領域番号 |
21K09895
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
生田 貴久 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00746563)
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研究分担者 |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315) [辞退]
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
湯本 浩通 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60284303)
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (60545143)
木戸 理恵 徳島大学, 病院, 助教 (60876027)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エクソソーム / 糖尿病関連歯周炎 / 高グルコース / 歯周医学 / 炎症反応 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、通常のグルコース濃度での培養条件の他に、糖尿病合併症研究で用いられる高グルコース条件下での培養、さらには高グルコース下での浸透圧に調整した培養条件下で培養したヒト歯根膜線維芽細胞よりPureExome(R) Isolation kitを用いて、エクソソームの抽出を行い、昨年度エクソソームマーカーとされるCD9について特異抗体を用いウェスタンブロット分析(WB)を行ったが、CD9に相当する分子量部位に明らかなバンドが認められなかったため、今年度は、確認のできなかったCD9と、新たにエクソソームマーカーであるCD63とTSG101、さらにネガティブコントロールであるGM130も併せてWB解析を行った。その結果、TSG101は相当分子量部位にバンドを認め、GM130についてはバンドを認めなかったことから、抽出したエキソソーム中にはTSG101が存在し、GM130が存在せず、エクソソームの抽出には問題はないと考えられた。これと同時並行で、ヒト歯根膜線維芽細胞、骨芽細胞や破骨細胞を抽出したエキソソームで刺激した際の細胞反応(サイトカイン発現、破骨細胞分化の有無等)を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
計画していた研究進行から遅れている状況である。主要なマーカーであるCD9に対する抗体を用いたWestern Blotによる解析が難航したため、抽出したエキソソームの特性を入念に確認する目的で、複数種のエキソソームマーカーに対する抗体とネガティブコントロールであるGM130を用いて確認を行うことに時間を要した。さらに、世界中の新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞により、抗体や各種試薬等の海外製品の納品が著しく遅延し、入手が遅れた。また、抽出したエキソソーム自体が、自己凝集するような性質があることから、細胞刺激に適した状態を確認することも必要となった。現在、上記の課題を解決し、遅れを取り戻すべく、本来の研究計画に沿って研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
高グルコース条件下やAdvanced Glycation Endproducts (AGEs)刺激したヒト歯根膜線維芽細胞由来エクソソームの核酸や蛋白質の網羅的な分析を行うとともに、これらの結果から得られた各種成分のWestern BlotやELISAを用いた同定を行い、高グルコース条件下やAGEs刺激でのエクソソーム成分の変化について解析を行う。また、ヒト歯根膜線維芽細胞から抽出したエクソソーム画分が、歯肉上皮細胞、歯根膜線維芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞や血球系細胞などに及ぼす影響として、炎症性サイトカインや酸化ストレスなどの発現への影響、さらには破骨細胞分化や骨形成・骨吸収への影響などについてMicroarray 等を用いて網羅的に解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初、歯周組織構成細胞から適切にエクソソームを抽出し、その成分の各種抗体を用いたWestern Blot分析やELISAを行い、その後に抽出したエクソソーム含有液のDNAや蛋白質のマイクロチップなどを用いた網羅的解析を予定していたが、高グルコース条件下等、様々な条件下で培養したヒト歯根膜線維芽細胞から抽出したエキソソームの特性の確認に時間を要したため、他の歯周組織構成細胞の培養まで進めなかったため。 (使用計画)今後、高グルコース条件下やAGEsで刺激したヒト歯根膜線維芽細胞由来エクソソームの核酸や蛋白質の網羅的な分析を行うとともに、これらの結果から得られた各種成分のWBやELISAを用いた同定を行い、高グルコース条件下やAGEs刺激によるエクソソーム成分の変化について調べる予定である。 また、各種条件下で培養したヒト歯根膜線維芽細胞から抽出したエクソソーム画分の歯肉上皮細胞、歯根膜線維芽細胞、骨芽細胞/破骨細や血球系細胞などに対するサイトカインや酸化ストレスなどの発現への影響、さらには破骨細胞分化や骨形成・骨吸収への影響なども網羅的に解析することを検討しており、翌年度分として請求した研究費と合わせて上記の研究に使用する予定である。
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