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2023 年度 実施状況報告書

歯肉増殖症や肥満に関わる新規分子SPOCK1のシグナリング経路の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K09897
研究機関九州大学

研究代表者

山下 明子  九州大学, 歯学研究院, 助教 (70511319)

研究分担者 佐野 朋美  九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
西村 英紀  九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード歯肉増殖症 / 歯周病
研究実績の概要

これまでに申請者らは、歯肉増殖症においてSPOCK1が上皮間葉転換(EMT)に関与することでその病因に関与すること、更にSPOCK1が脂肪細胞の成熟を促して脂肪組織の肥大化に関わる可能性があることを報告した。しかし、上皮や脂肪細胞におけるSPOCK1の特異的受容体やそのシグナル伝達経路などの詳細は不明であるため、解析の計画を立案し実施した。これまでの実験により、SPOCK1は分化誘導時に3T3-L1細胞に発現するレセプターに結合し、それに続くシグナルを活性化する可能性が示唆された。この結果をもとに同細胞の分化誘導時のSPOCK1刺激有無のサンプルで、プロテオミクス解析を実施した。今回の解析ではSPOCK1刺激有無で約50種類のタンパク発現に変動が認められた。
一方、SPOCK1、歯周炎症、シクロスポリン-A(CsA)が協調して歯肉の増殖を促進するかを検討した。まず、Spock1過剰発現マウスは、実験的歯周炎に対して、野生型マウスよりも有意に歯肉が肥厚し、歯槽骨の減少が大きいことを確認した。Spock1過剰発現マウスでは、CsAを併用することで薬物性歯肉増殖が誘導され、実験的歯周炎が野生型マウスに比べて有意に増強した。CsA投与Spock1過剰発現マウスにおける実験的歯周炎による歯槽骨喪失も、CsAを投与したWTマウスと比較して有意に大きく、同時にRanklとCol1a1レベルの上昇とマトリックスメタロプロテアーゼ発現の低下を伴っていた。最後に、SPOCK1はヒト末梢血単核球とマウスマクロファージの両方においてRANKL誘導破骨細胞分化を促進し、Spock1過剰発現マウスの腹腔マクロファージはLPSに反応してTNFαとIL-1βの分泌が野生型マウスより少なかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

プロテオミクス解析のサンプルの条件検討時、仮説と一部異なるデータを得たため、条件策定に時間を要した。

今後の研究の推進方策

当初の計画書と比較して条件設定にやや時間を要したが、その他細胞培養、マウス飼育などに問題は生じていない。研究実施計画に準じて研究の遂行を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

研究遂行に想定以上に時間を要した。また、感染症流行などの問題から当初予定していた海外での国際学会への出席を控えたため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Epithelial-to-mesenchymal transition, inflammation, subsequent collagen production, and reduced proteinase expression cooperatively contribute to cyclosporin-A-induced gingival overgrowth development2023

    • 著者名/発表者名
      Imagawa Mio、Shinjo Takanori、Sato Kohei、Kawakami Kentaro、Zeze Tatsuro、Nishimura Yuki、Toyoda Masaaki、Chen Shuang、Ryo Naoaki、Ahmed Al-kafee、Iwashita Misaki、Yamashita Akiko、Fukuda Takao、Sanui Terukazu、Nishimura Fusanori
    • 雑誌名

      Frontiers in Physiology

      巻: 14 ページ: 01~16

    • DOI

      10.3389/fphys.2023.1298813

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Endothelial Insulin Resistance Exacerbates Experimental Periodontitis2023

    • 著者名/発表者名
      Zeze T.、Shinjo T.、Sato K.、Nishimura Y.、Imagawa M.、Chen S.、Ahmed A.-k.、Iwashita M.、Yamashita A.、Fukuda T.、Sanui T.、Park K.、King G.L.、Nishimura F.
    • 雑誌名

      Journal of Dental Research

      巻: 102 ページ: 1152~1161

    • DOI

      10.1177/00220345231181539

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 実験的歯周炎によって2型糖尿病モデルKK-Ayマウスにおける腎症は増悪する2023

    • 著者名/発表者名
      新城尊徳、佐藤晃平、横溝久、瀬々起朗、今川澪、岩下未咲、山下明子、西村英紀
    • 学会等名
      第66回日本糖尿病学会年次学術集会(鹿児島市)
  • [学会発表] 血管内皮細胞におけるインスリン抵抗性は、インスリン作用によるPI3K-Akt-FoxO1経路を介した炎症誘導性VCAM-1発現を破綻させることで歯周炎の増悪に寄与する2023

    • 著者名/発表者名
      瀬々起朗、新城尊徳、西村優輝、佐藤晃平、今川澪、陳爽、梁尚陽、岩下未咲、山下明子、西村英紀
    • 学会等名
      第66回日本歯周病学会春季学術大会(高松市)
  • [学会発表] 実験的歯周炎を惹起したKK-Ayマウスでは、糸球体中HPGDS発現上昇を介して腎症が増悪する2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤晃平、新城尊徳、瀬々起朗、今川澪、梁尚陽、陳爽、西村優輝、岩下未咲、山下明子、西村英紀
    • 学会等名
      第66回日本歯周病学会春季学術大会(高松市)
  • [学会発表] 血管内皮細胞におけるインスリン抵抗性は糖尿病関連歯周炎を増悪させる2023

    • 著者名/発表者名
      瀬々起朗、新城尊徳、西村優輝、佐藤晃平、今川澪、陳爽、梁尚陽、岩下未咲、山下明子、西村英紀
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2023年度春季学術大会(第153回)(松江市)
  • [学会発表] 掌蹠膿疱症の増悪因子として口腔内の感染病巣が疑われた慢性歯周炎患者の一症例2023

    • 著者名/発表者名
      山下明子、新城尊徳、西村英紀
    • 学会等名
      第66回秋季日本雌雄病学会学術大会(長崎市)

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公開日: 2024-12-25  

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