研究課題/領域番号 |
21K09902
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
新海 航一 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90147843)
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研究分担者 |
鈴木 雅也 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (10409237)
吉井 大貴 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (50880291)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗菌的光線力学療法 / 齲蝕象牙質 / 殺菌 / 歯髄反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、ラット歯を用いてaPDTの歯髄反応を評価し、歯髄安全性を有するaPDTを応用した深在性齲蝕に対する新規治療法を確立することを目的に行っている。初年度は、実験手技を確立することを主眼に予備実験を行った。 8~9週齢の雄性SD系ラットを用い、ラットに腹腔内麻酔を施した上でラット歯用クランプを用いて可及的にラバーダム防湿を施した。MI用球状ダイヤモンドポイントを用いて、歯科用マイクロスコープの拡大視野下でラットの両側上顎第一臼歯近心咬頭頂部に窩洞形成(深さ約0.6mm、直径約1.0mmの椀型窩洞)を行った。650nmレーザーとメチレンブルーの組み合わせによるaPDT(650-MB)、あるいは650nmレーザーとブリリアントブルーの組み合わせによるaPDT(650-BB)を左右どちらかの窩洞に応用した。なお、レーザーは、100mWで60秒間の照射を行った。その後、抗酸化剤(アスコルビン酸水溶液)を窩洞に応用し、残留した活性酸素を除去した。次に、オールインワンアドヒーシブ(BeautiBond Multi、松風)を用い、メーカー指示に従って歯面処理を施した後、フロアブルレジン(Beautifil Flow Plus X F00、松風)を用いて修復した。なお、もう一方の窩洞はコントロールとし、aPDTを応用せずに同様の材料を用いて修復した。 14日後にラットを屠殺し、摘出試料(上顎骨)は4%PFA溶液で固定した。固定試料は10%EDTA溶液にて脱灰、薄切切片を作製してH-E染色を行った。光学顕微鏡にて歯髄組織の形態変化、炎症性細胞浸潤、第三象牙質の形成および細菌侵入の4項目を観察し、病理組織学的に評価した。 その結果、いずれの実験群も歯髄の状態は良好であったが、aPDTを行った650-MBと650-BBの試料は、コントロールと比較して修復象牙質の形成が多く認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、予備実験として実験手技の確立を主目的に遂行したため、繰り返し数(ラット使用数)を各実験群2回に限定した。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験によって実験手技が確立したので、今後は繰り返し数を10回まで増やすことを予定している(実験①)。その結果、歯髄反応の良好な成績を示したaPDTを選択し、レーザーの出力と照射時間を変えてaPDTを行い、照射エネルギーの大きさがラット歯の歯髄反応に与える影響を病理組織学的に評価する。すなわち、200mW-30秒間、100mW-60秒間(実験①の結果)および50mW-120秒間の歯髄反応について評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
高性能ミクロトーム(\1,150,000)の購入を予定していたが、既設の顕微鏡用デジタルカメラの不具合が生じたので、新規にニコン顕微鏡用デジタルカメラとDS-Fi3パソコンセット一式(\561,000)を購入した。また、ラットの購入費用も予定の1/5程度となった。さらに、COVID-19の影響で各種学会がオンライン開催となったため、旅行費等の支出がなかった。 次年度に繰り越した本年度使用予定の助成金は、ラット購入・飼育費、薬品やミクロトーク替刃など消耗品の購入などに使用する予定である。
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