研究課題/領域番号 |
21K09924
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
二階堂 徹 朝日大学, 歯学部, 教授 (00251538)
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研究分担者 |
平石 典子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20567747)
高垣 智博 朝日大学, 歯学部, 准教授 (60516300)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | SDF法 / 根面う蝕 |
研究実績の概要 |
高齢者の根面う蝕は増加傾向にあり、口腔崩壊を避けるためには根面う蝕の進行抑制とその処置法の確立は喫緊の課題である。38%フッ化ジアンミン銀(SDF)は、かつて乳歯のランパントカリエスの進行抑制に使用されたが、乳歯う蝕の減少とともに最近では使用されなくなった。一方、38%SDFの根面う蝕の抑制効果が世界的に注目されており、我が国においては福島(2017)がSDFを用いた根面う蝕のマネジメントをSDF法として提案している。 本研究の目的は、38%SDFを根面う蝕に塗布した際の黒変部をう蝕の範囲として除去し、さらに接着してCR修復する際の被着体の性状と接着強さ、接着界面に及ぼす影響についての基礎データを集積する。これによってエビデンスに基づく効果的な根面う蝕の修復処置法(SDF法)を確立する。 現在根面う蝕を有する抜去歯を収集し、パイロットスタディを開始している。根面う蝕部位を中心付近で歯軸方向にダイヤモンドディスクを用いて半切し、38%SDF塗布群とう蝕検知液塗布群の2群に分けた。う蝕除去後に接着材を用いて接着し、その後コンポジットレジンを築盛して微小引張接着試験用の試料を作製した。試料は微小引張接着試験を行い、微小引張接着強さを得た。本結果を基に本実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在根面う蝕を有する抜去歯を収集し、パイロットスタディを開始した。すなわち根面う蝕部位を中心付近で歯軸方向にダイヤモンドディスクを用いて半切し、それぞれ38%SDF(サホライド)塗布群とう蝕検知液(カリエスチェック、ニシカ)塗布群の2群に分けた。SDF塗布群では、38%SDF塗布後に試料を100%湿度・37℃の暗室に1週間保管後、黒変を基準としてラウンドバーを用いて脱灰象牙質を除去した。う蝕検知液塗布群においては、1週間保管後にう蝕検知液を塗布して赤染部を除去した。う蝕除去後の各試料について、接着材(クリアフィルメガボンド2、クラレノリタケデンタル)を用いて接着し、その後コンポジットレジンを築盛して微小引張接着試験用の試料を作製した。試料は微小引張接着試験を行い、微小引張接着強さの結果について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
パイロットスタディの結果を基に本実験を行う。抜去歯から接着試料を作製後、さらにサーマルサイクル0回と5000回群の2群に分ける。各試料について通法に従って微小引張接着試験を行う。接着試験後の試料の破壊形態はSEMで観察する。また接着試験と同様にして作製した試料について接着界面のABRZのSEM観察を行う。これによってSDFとう蝕検知液によるう蝕除去後の接着への影響について比較検討する。また、接着材として、2ステップセルフエッチングシステム(クリアフィルメガボンド2)の他に1ステップセルフエッチングシステム(クリアフィルユニバーサルクイックER、クラレノリタケデンタル)を追加し、材料の違いによる影響についても検討を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、牛歯を用いて人工う蝕を作製し、これを用いた実験計画を策定していたが、抜去歯を用いることより臨床により近い状況での実験系に変更した。現在、抜去歯を収集し、パイロットスタディを行っている段階であり、当初の見込みに比べて2021年度の支出は小さくなった。今後はパイロットスタディの結果を踏まえ、材料等の物品費や分析機器周辺消耗品等の購入が増えることが予想される。
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