研究課題/領域番号 |
21K09927
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
松本 典祥 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80597948)
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研究分担者 |
松崎 英津子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (20432924)
吉本 尚平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70780188)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨組織再生療法 / ホスファチジルセリンリポソーム / マクロファージ |
研究実績の概要 |
本研究では、修復性マクロファージの賦活化によるカップリング機構制御による新たな骨組織再生療法を目指している。この為、(1) in vivo における PS リポソームによる M1/M2 マクロファージの動態と骨形成作用の連関を検証し、(2) その分子基盤として RANKL 逆シグナルを介した骨芽細胞の分化促進機構を解明することを目的としている。 これを検討するために、10週齢ラットを用いて頭蓋骨欠損モデルを作製し、骨欠損部に、① PS リポソームおよび足場材としての 生体活性化ガラス(bioactive glass以下BAGと略す)の填入、② PS リポソームの填入、③ BAG の填入、④ 骨欠損部に何も填入しない対照の 4 種類のモデルを作製することを計画した。処置後は、2-8週後に頭蓋冠標本を採取し、経時的な骨形成状況をマイクロ CT により検証する。これまでにコントロール群とBAG填入群のモデルを作製し、HE染色、マクロファージのマーカー ED1の免疫染色を行った。現在、M1 マクロファージのマーカーIL-1β、TNF-α、iNOS、M2 マクロファージのマーカーIL-10、アルギナーゼ-1、骨芽細胞マーカー Runx2、BSP の免疫染色の準備段階にある。今後、同様にPSリポソームとBAGの填入群、PSリポソームの填入群を作製し、組織標本を作製するとともに、各群の免疫染色を行う。 細胞実験では、マクロファージU937細胞の細胞増殖について検討し、増殖曲線を作製した。現在、コントロール群のRNA抽出を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルの作製、細胞実験の準備はおおむね順調に進展している。 一方、PSリポソームの調達に問題が生じている。これまで、ホスファチジルコリンとホスファチジルセリンの乾燥リン脂質フィルムをmolar ratio 7:3 の割合でリン酸緩衝液 (phosphate-buffered saline)に溶解し、氷上で10分間超音波振動を与えて溶解した後、0.22μmのフィルター滅菌を行い、作製していた。以前の研究でこれを担当していた論文共著者が離職し、また作製に用いていた器具の老朽化もあり、PSリポソームが調達できていない。PSリポソームは作製後、活性がすぐに失われるため、3日以内に実験に供する必要があり、新しい調達手段の確立が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ラットの頭蓋骨欠損モデルを作製し、コントロール群としてBAGのみの填入群と、何も入れないネガティブコントロール群について、経時的な骨形成状況をマイクロCTにより検証するとともに、組織標本の作製と免疫染色を進めている。 PSリポソームの調達については外部企業への作製依頼を検討しており、いくつかの企業に詳細を問い合わせている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では実験に用いるPSリポソームを作製するための予算を計上していたが、以前の研究においてPSリポソームの作製を担当していた共著者の離職により遅れが生じている。実験に用いるPSリポソームの作製については今年度、外部企業に依頼する予定でありこの為の費用として次年度に使用することを計画している。 また、旅費については、当初の予定では地方で開催される日本歯科保存学学術大会および歯内療法学学術大会に出席するために計上していたが、近年の新型コロナウイルス感染拡大とその長期化のため、学会がリモート開催となり、この為に未使用となっている。
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