研究課題
再生医療を実施するためには必要十分量の細胞の確保が重要である。歯槽骨再生のために本研究では前骨芽細胞を用いる計画を立案しているが、細胞採取源である歯槽骨の採取には限界がある。そのため最小量の組織より細胞を採取して未分化性を維持した細胞を大量培養する必要がある。そこで本研究では微小重力環境下で細胞が未分化性を維持することに着目し、3Dスキャフォールド中で培養を試みることとした。本年は昨年度に引き続き3Dプリンターを用いて前骨芽細胞を含んだ3次元スキャフォールドを試みた。適切濃度のコラーゲンを用いて試作スキャフォールドの作成と並行して、微小重力環境におけるマウス前骨芽細胞株とラット頭蓋冠由来前骨芽細胞の挙動の比較を行った。いずれの細胞においても通常培地で培養し微小重力環境下にて3週間の長期培養を行ない、total RNAを回収した。その後通法に従いreal time PCRを実施し骨関連遺伝子群の発現を検討した。その結果、オステリックスおよびRunx2の遺伝子発現が抑制された。また骨芽細胞の後期分化マーカーであるオステオカルシンの遺伝子発現が約6倍減少することが確認された。一方で3Dプリンターを用いたスキャフォールドの開発は、前年度に細胞を配した単相のスキャフォールドに関しては細胞の生存が確認されたが、複数層のコラーゲンゲルのスキャフォールドで培養を行ったところ培地の浸透条件が悪く細胞の生存が確認できなかった。そのため次年度はゲル濃度の最適化を行う予定である。
3: やや遅れている
細胞培養に適切な3次元スキャフォールド作成のため、用いるコラーゲンの濃度の模索に時間を要している。そのため次年度は既存のコラーゲンスキャフォールドを含めて検討を行う
スキャホールドを既存の製品を含めて検討して実験を行う。また分化程度の指標としてNEBLの遺伝子発現を調べる予定である。
海外の学会発表ができなかったため
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PNAS Nexus.
巻: 18 ページ: -
10.1093/pnasnexus/pgac151