研究課題/領域番号 |
21K09945
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
大熊 理紗子 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (50804887)
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研究分担者 |
山本 竜司 鶴見大学, 歯学部, 講師 (20410053)
唐木田 丈夫 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (40367305)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / TGF-β / カップリング / リモデリング / カップリング因子 |
研究実績の概要 |
骨基質中には不活性状態の潜在型TGF-β(latent TGF-β)が豊富に含まれており、破骨細胞による骨吸収が起こると、骨基質中のlatent TGF-βが放出されて活性型TGF-βに変換される。この現象をin vitroで再現し、TGF-βが破骨細胞自身に与える影響を検討することが本研究の目的である。 我々はlatent TGF-βを培養プレート表面に結合させ、その上にCaをコーティングすることで骨基質中のlatent TGF-βを再現した。このlatent TGF-β結合Caプレート上でマクロファージ由来RAW264細胞をリコンビナントRANKL存在下で培養し、破骨細胞に分化させた後、骨吸収の様子(Pit Assay、抗TGF-β抗体による免疫蛍光染色)を測定および観察を行った。その結果、Pit AssayでPitが観察された部分においてのみ、TGF-βは発光を示さず、TGF-β含有プレートでは骨吸収の割合がcontrolよりも有意に高かった。 本年度はTGF-βによる破骨細胞関連因子の変化を検出するため、定量的RT- PCR法を行った。その結果、破骨細胞の分化に関与するNFATc1、RANK、TRAP、DC-STANPにおいてTGF-β添加群では遺伝子発現が上昇していた。また、骨吸収関連遺伝子であるCathepsin K、c-SrcなどがTGF-βによって発現が促進されていた。これにより、TGF-βは破骨細胞の分化や、骨吸収を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度まで時間を要していた培養条件が決定し、安定的にRAW264細胞を破骨細胞へと分化できるようになった。また、タンパクレベルでの実験において、昨年度はウェスタンブロッティングでの検出方法に苦戦していたが、試行錯誤を繰り返し別の検出方法で行う実験のめどが立った。さらに、定量的RT- PCR法によって破骨細胞に与えるTGF-βの影響が明らかになってきたことで、本研究の目的の一つが達成された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の3つの実験を予定している。破骨細胞に対するTGF-βの影響は遺伝子レベルで明らかになってきたので、①Wnt1などの骨芽細胞活性化関連遺伝子の定量的PCRを行う。また、定量的PCRによって得られたデータをもとに、関連因子の、②組織学的解析(細胞骨格の観察、免疫染色など)を行い、TGF-βが破骨細胞の形態に影響を与えているかの検討や、タンパクレベルで変化があるか検討を行う。③また、破骨細胞の骨吸収によって放出されたTGF-βによって骨芽細胞や骨細胞にどのような影響があるのか、検討を行う。
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