研究課題/領域番号 |
21K09964
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
廣田 正嗣 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50734860)
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研究分担者 |
早川 徹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (40172994)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨補填材 / 歯学 / 再生医学 / 骨 / アパタイト |
研究実績の概要 |
本研究は,廃棄卵殻中のカルシウムを再生利用し,原料として合成した水酸アパタイト(卵殻アパタイト)の臨床応用を目指し,新規骨補填材の開発を行っている.現在までに以下のように実績を得たので報告する. 令和3年度は,試作する骨補填材中の卵殻アパタイトの配合濃度(1~30 wt%)および5種類の複合化材料(医療用ゼラチン,κ―カラギナン,LMペクチン,キリンサイ,メチルセルロース)について検討を行った.複合化材料に卵殻アパタイトを各濃度条件で配合させ,それぞれをゲル化後,令和3年度設備費で購入した凍結乾燥機を用いて一定時間乾燥させた.作製した試作骨補填材の走査型電子顕微鏡(SEM)による形態観察および生理的食塩水中での分解挙動の観察を行った結果,骨補填材として利用可能と考えられる連通多孔形態が得られた,配合量10 wt%,複合化材料LMペクチンおよびキリンサイの2条件を得ることができ,令和4年度以降の実験に供することとした. 試作骨補填材の動物への埋入実施の予備実験として,8週令雄性SDラットを用い頭蓋骨欠損部への8週間の骨補填材埋入実験を行った.歯科用トレフィンバーにて形成した頭頂骨の骨欠損部に市販の炭酸アパタイト骨補填材を埋入し,骨膜を含めて慎重に縫合し閉創した.埋入した試料は対照群としての骨反応を確認するため,非脱灰薄切研磨標本を作製し光学顕微鏡による観察を行っている.現在までに,全ての供試動物において炎症反応などの異常は認められず,通常飼育により飼育可能であることが分かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
複合化材料として当初予定していた医療用ゼラチンの他に,4種類の材料についても検討を行い,その中から良好な結果を得た2種類の複合化材料を選定することができた.現在までにSEM観察による形態および生理的食塩水中での長期溶解性についての評価を行うことができており,加えて令和4年度には,フーリエ変換赤外分光法(FT-IR,外部委託),X線回折法(XRD) を使用しアパタイトの結晶性などの分析を追加予定である. また,令和4年度以降に行う予定であるラット頭頂骨への埋入モデル確立のための予備実験を繰り上げて実施することができた.骨欠損の形態等の術式を決定し,令和4年度から本モデルにより試作卵殻アパタイト骨補填材の埋入実験を実施する.現在までの成果の一部は,関連学会の学術大会にて発表を行った.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度に引き続き令和4年度においては,2種類の試作骨補填材のキャラクタリゼーションの分析としてFT-IR,XRD,溶出イオン測定を行う.また,これらの分析と併行してラット頭頂骨への試作骨補填材埋入実験を予定している.ラット頭頂骨を切開し,歯科用トレフィンバーにてφ8 mmの骨欠損を作製し,骨欠損の形態に加工した試作骨補填材を4~8週間埋入する.摘出した試料は,マイクロCTにて骨形成の三次元的評価を行う.さらに,EXAKTシステムを用い非脱灰薄切研磨標本を作製し光学顕微鏡を用いて病理組織学的に骨形成状態を観察する.組織形態計測として解析ソフトWinRoofを用いて新生骨量を算出する.令和4年度の中間発表として日本歯科理工学会学術大会にて学会発表を行う. 令和5年度には,卵殻アパタイトを蒸留水と混合し,骨ペーストを作製する。骨ペーストはラット頭頂骨上に内径φ3 mm,高さ2 mmのテフロン製チューブを置き,その中に充填し,骨膜ごと縫合を行う.埋入4~8週後に摘出した後標本作製を行い,外向側骨形成評価,分析を行う. 以上について得られた結果を取りまとめ,卵殻アパタイトの骨補填材としての有用性について,関連学会における学会発表および海外ジャーナルへの論文投稿によって成果の発表を行う予定である.
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