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2023 年度 実施状況報告書

鶏卵の殻を再生利用したMgイオン含有アパタイト骨補填材の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09964
研究機関鶴見大学

研究代表者

廣田 正嗣  鶴見大学, 歯学部, 講師 (50734860)

研究分担者 早川 徹  鶴見大学, 歯学部, 特任教授 (40172994)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード骨補填材 / 歯学 / 再生医学 / 骨 / アパタイト
研究実績の概要

本研究は,廃棄卵殻中のカルシウムを再生利用し,原料として合成した水酸アパタイト(卵殻アパタイト, BAp)の臨床応用を目指し,新規骨補填材料の開発を行っている.現在までに以下のように実績を得たので報告する.
令和5年度は,BApの粉末を蒸留水と練和することによりペーストとし,ラット頭頂骨骨膜下に埋入を行い,外向側骨形成について高分解能X線CT装置(μ-CT)および非脱灰薄切研磨標本の観察による病理組織学的な評価を行った.
全ての供試動物に炎症反応などの異常は認められず,通常飼育が可能であった.μ-CTから得られた三次元構築画像においては,対照群である鉱物由来アパタイトの単斜晶ハイドロキシアパタイト(HAp)に比較してBAp埋入試料において,より多量の不透過像が頭頂骨上に観察された.また周囲骨組織との透過性の違いからHApの残存量はBApよりも多い傾向であると考えられた.術後8週後のCT値から算出した各骨塩量は,HApと比較しBAp埋入試料において有意に高い値が得られた(p<0.05). μ-CTにより骨量を分析した後,塩基性フクシン・メチレンブルー重染色を施し新生骨を病理組織学的に観察した結果,新生骨は全て頭蓋骨側から形成されており,HApはBApに比べて多く残存していた.術後8週では,BApにおいてHApと比較してより多く新生骨形成が認められた.
以上より,廃棄卵殻由来の卵殻アパタイトは,骨補填材として有用である可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度においては,当初の予定通り卵殻アパタイトを蒸留水と練和することによりペーストを作製し,外向側骨形成についてラット頭頂骨への埋入実験を行った.新生骨形成状態の評価は,μ-CTにより観察し,得られたCT値から測定範囲における骨塩量を算出した.また非脱灰薄切研磨標本を作製後,光学顕微鏡を用いて新生骨を病理組織学的に観察した.さらに画像解析ソフトを用いて新生骨量を算出し,定量的な評価を実施することができた.本動物実験結果から,卵殻アパタイトから作製した新規骨補填材料は,骨再生に有用である可能性を示すことができた.
本研究の成果について,より精緻に研究を達成するために補助事業期間を延長し,令和6年度に学会発表および論文投稿を実施する予定である.

今後の研究の推進方策

本研究は,令和6年度まで補助事業期間を1年間延長し,学会発表および論文投稿による成果発表を行う.令和5年度までに得られたデータを統計学的に分析し,取り纏めた上で,来たる2024年度第82回日本歯科理工学会学術講演会(令和6年4月20-21日,於:かごしま県交流センター)にてμCTによる骨形成評価について,また病理組織学的評価の結果は,日本補綴歯科学会第133回学術大会(令和6年7月5-7日,於:幕張メッセ)にて発表予定である.
補助事業期間全体の成果については,研究分担者とともに原著論文を作成し日本歯科理工学会の機関誌であるDental Materials Journalに投稿する予定である.

次年度使用額が生じた理由

当該補助事業の目的をより精緻に達成するため,次年度に成果発表のための学会参加および,成果をまとめた論文投稿を予定している.そのため,2024年度に学会発表に係る旅費および論文投稿に係る諸経費を計上する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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