研究課題/領域番号 |
21K09967
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
丸田 道人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (40507802)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アパタイトセメント / 炭酸 / コンタミネーション |
研究実績の概要 |
前年度の計画に合わせて炭酸含有量を極限まで低下させたアパタイトを調製し細胞実験を行った。出発材料となるTTCPとDCPAの炭酸のコンタミネーションについて検討した。TTCPの作成には前年度同様にCaCO3とDCP混合粉末を1200度で6時間高温焼成後にクエンチすることにより得た。このクエンチを大気下、窒素ガス還流下、液体窒素を通した窒素ガス下の3条件で作成し、得られたTTCPの炭酸含有量をCHN分析にて行った。比較試料として市販されている太平化学産業製のTTCPを用いた。得られた結果は、太平化学産業製のTTCPでは約0.3wt%、大気下クエンチ試料では約 0.27wt% 、窒素ガス還流下クエンチでは約 0.12wt%、液体窒素を通した窒素ガス還流下では 0.06wt%の炭酸のコンタミネーションが確認された。この結果、炭酸含有量を5分の1に低減することができた。。前年度はこれまでの論文報告を参考にして、様々な焼成条件を検討することにより化学用論組成のTTCPを調製することにより炭酸含有量を低減させる取り組みを行ってきたが、今年度は水の存在に着目し実験系を組み替えることにより高純度試薬の調整を可能にした。一方DCPAは酸性水溶液を用いて合成されるため、炭酸のコンタミを完全に防ぐことが不可能(約0.4wt%)であることも同時に明らかになった。つまり、水中に溶けている遊離炭酸を完全に除去することは困難であり、セメント粉末の粒度調整や保管時、またセメントの養生時など水分を必要とする作業や処理では必ず炭酸が少なからず混入してしまうのである。そのため、遊星式ボールミルに装着させるガス置換ポットを使用した場合においても、炭酸基の含有は大きく変化しないことが明らかになった。その後はMC3T3細胞を用いた細胞生存率、増殖分化能の評価を行い低炭酸含有率では有意な差が認められないことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
TTCP+DCPA系アパタイトセメントの炭酸のコンタミネーションの制御が、出発材料分丸の高純度化、粉末粒径制御、養生の3つの段階で再度検討する必要性が出たために、実験試料の完成が予定していた計画よりもやや遅れた。具体的には、前年度の計画予定に対して、破骨細胞を用いた吸収性評価のみ遅延している。破骨細胞による実験では市販されているラット破骨細胞を用いて最終年度の予定に組み入れて計画を遂行することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞による実験では市販されているラット破骨細胞による吸収活性をブロック表面に形成された吸収窩数および面積により定量化する。 また、ラット大腿骨を用いた検討大腿骨遠位端に直径2 mm、深さ3mmの骨欠損を形成し、各種Ca/Pモル比のセメント硬化体を充てんし、移植後最大8週までに試料を含む大腿骨遠位端を摘出し、組織親和性と骨の置換の状態をマイクロCTまたは病理組織学的に評価することで、低炭酸コンタミネーションでの有意な差が出ないことを確認する予定である。
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