研究課題/領域番号 |
21K09971
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石山 希里香 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20712904)
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研究分担者 |
菅野 太郎 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30302160)
中村 圭祐 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (30431589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | プロアントシアニジン / 過酸化水素 / 創傷治癒 |
研究実績の概要 |
これまでの研究において、CytoSelect Wound Healing Assay kit(Cell Biolabs)を用いたモノレイヤー創傷モデルでは、カプラントシアニジン水溶液による処理が創傷治癒促進効果を示すという仮説が実証できていない。そこで、今年度はプロアントシアニジンのプロオキシダントとしての性質に着目して、水溶液中での過酸化水素生成を分析し、創傷治癒におけるプロアントシアニジンの役割の仮説の再検証を行った。 プロアントシアニジンは、光照射により酸化され、水溶液中に過酸化水素が生成されることが知られている。しかしながら、光照射を伴わない場合の水溶液中での経時的な反応については未解明な部分が多い。そこで、プロアントシアニジンを水に溶解させた後に、経時的に水溶液中に生成される過酸化水素濃度の分析を行った。過酸化水素の分析には、Amplex Red試薬を用いて行った。Amplex Red試薬は、過酸化水素によって酸化されるとレゾルフィンに代わり、このレゾルフィンの蛍光分析によって高感度で過酸化水素の定量分析を行うことができる。さらに、電子スピン共鳴分析法を用いて、試料中の過酸化水素と硫酸鉄(II)の反応(フェントン反応)を介して生成されるヒドロキシルラジカル量を分析することで、過酸化水素の定量を行った。その結果、いずれの分析法でも水溶液として調製した後、時間依存的にプロアントシアニジンから微量な過酸化水素(uMオーダー)が産生されていることが分かった。先行研究より、この過酸化水素による軽度酸化ストレスが線維芽細胞の増殖のトリガーとなると考えていたが、反対にこの酸化ストレスが細胞増殖を抑制していたのかもしれない。プロアントシアニジンによる抗酸化作用と産生される過酸化水素の相互作用によって細胞への効果が決まることが考えられるので、今後さらなる研究が必要である。
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