研究課題/領域番号 |
21K09977
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
水口 真実 岡山大学, 大学病院, 医員 (20634489)
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研究分担者 |
窪木 拓男 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
水口 一 岡山大学, 大学病院, 講師 (30325097)
三木 春奈 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60739902)
小山 絵理 岡山大学, 大学病院, 医員 (60779437)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ACTN遺伝子 / サルコペニア / 舌機能低下 / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
要介護高齢者の増大に対して,要介護状態の発症を遅らせ,健康寿命を延伸することが強く望まれている。近年,フレイルが高齢者の自立喪失の有意なリスク因子であると報告された。フレイルサイクルの一端に口腔機能,特に咀嚼嚥下機能の低下による低栄養がある。そこで,口腔機能低下に関するリスク因子を早期に発見し,早期に口腔機能,栄養状態の改善を図ることができれば,高齢者の要介護状態への転落を遅延できると考えている。 実際の食事時の筋電図を音声波形解析技術の応用と機械学習により,早期の咀嚼機能低下を類推する試みを開始したが,教師データ獲得が困難であったため,他のリスク因子を検討する中でACTN3遺伝子多型が抽出された。そこで遺伝子多型との関連を検討することとした。 咀嚼嚥下機能の維持,賦活を目的とし行われる筋機能訓練により,オーラルディアドコキネシスに加え,舌圧も改善することが知られている。この舌圧は骨格筋量よりも体幹筋量の影響を受け,舌機能や舌骨上筋群は速筋繊維が優位な筋と言われている。一方,サルコペニア発症時には速筋線維優位な筋線維の萎縮が生じ,速筋はサルコペニアの影響を大きく受ける。このサルコペニア発症のリスク因子の一つに,ACTN3遺伝子R577X多型による筋線維の萎縮が明らかとなっているが,これらと舌機能低下並びに嚥下障害を呈するリスクについての関連は明らかでない。 そこで本年度は,ACTN3遺伝子R577X多型を評価するための予備的検討を行った。特に,高齢者を対象にDNAを採取する必要があることから,被検者負担の少ない採取方法並びにその結果の妥当性について検討した。その結果,唾液中,頬粘膜の擦過(10回,20回)を行い,R577X多型を評価したところ,同一の結果が得られた。これより,頬粘膜の10回擦過によってR577X多型を評価するのに十分なDNA採取ができることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,健常者の唾液中の細胞サンプルよりDNAを抽出し,リアルタイムPCRにてACTN3遺伝子R577X多型の解析手法を確立した。さらに,唾液中,頬粘膜の擦過(10回,20回)によって得られたサンプルの解析結果の検討を行った。 これら予備的検討を行えたものの,高齢者の受診控え,高齢者施設への立入禁止処置等により,高齢者を対象とした臨床診査を含む本研究の実施は,不可能であった。同時に,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う本学の活動制限指針により,新規の研究開始が事実上凍結となっていたことからも,研究遂行は不可能であった。 上記の理由により,本申請研究の進捗は“遅れている”と言える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの予備的検討から,口腔機能低下のリスク因子と考えられているACTN3遺伝子R577X多型の解析手法は確立できた。そのため今後,サルコペニアに関連する遺伝子多型と舌機能,嚥下機能低下との関連を検討することで,舌機能,嚥下機能低下の早期リスク因子を明確にする。そのため,本学倫理委員会に以下の申請を行い,高齢者を対象とした臨床研究を行う。すなわち,プレフレイル期の高齢者を対象に,サルコペニア関連の遺伝子多型と舌の巧緻性を含む全身の活動性,筋肉量との関連について高脂肪を共変量として評価する。 具体的には,当科の関連高齢者施設に新規に入所した高齢者を対象として,それらの舌機能,全身機能評価結果と口腔粘膜の擦過により得られるDNAからサルコペニア関連の遺伝子多型を解析し,遺伝子多型の変異と経過観察期間(3ヶ月,6ヶ月,12ヶ月)の舌機能,嚥下機能の変化との関連について横断的研究ならびに縦断的研究を行う。 主要評価項目は,筋機能に影響を与えると考えられている遺伝子多形(ACTN3 rs1815739,MTHFR rs1801131およびMTHFR rs1537516)とし,副次的評価項目を,体重減少量,主観的疲労感,日常生活活動量の減少,身体能力(歩行速度),筋力(握力),身体計測(身長,体重,下腿周囲長),摂食状態,口腔内状態(残存歯数,機能歯数,咬合状態),体組成(体脂肪率),舌機能(舌圧,オーラルディアドコキネシス)とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備的検討は行えたものの,高齢者の受診控え,高齢者施設への立入禁止処置等により,高齢者を対象とした臨床診査を含む本研究の実施は,不可能であった。同時に,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う本学の活動制限指針により,新規の研究開始が事実上凍結となっていたことからも,研究遂行は不可能であった。活動制限の緩和により,次年度は,高齢者を対象とした本研究が実施可能と考える。
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