研究課題/領域番号 |
21K09978
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹内 真帆 広島大学, 病院(歯), 助教 (00397944)
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研究分担者 |
阿部 泰彦 広島大学, 医系科学研究科(歯), 准教授 (00253097)
香川 和子 広島大学, 病院(歯), 歯科診療医 (60432671)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 人工乳房 / 抗菌性 / ウレタンゲル / 塩化セチルピリジニウム(CPC) / モンモリロナイト |
研究実績の概要 |
乳がん患者のQOLを向上させるため、近年、人工乳房は、軽量化や粘着性の向上がなされている。しかしながら、生活の様々な活動様式に合わせてシリコーン接着剤を使用せざるを得ない現状がある。接着剤の使用において、①接着剤を皮膚に残さないために、リムーバー剤を用いて丁寧に除去するという煩雑さ、②皮膚炎を生じる(皮膚保護被膜剤が用意されているものの、接着力を低下させる)、といった問題点が指摘されている。すなわち、接着剤のこれらの問題点を解決する、新しいコンセプトの代替品を開発することが急務である。 本研究の目的は、シリコーン樹脂と皮膚の両者に対して強力な粘着性能を有し、さらに、皮膚炎を予防するために抗菌性を付与したウレタンゲル粘着シートを開発することである。 2021年度は、ポリウレタンゲル(アスカーC硬度0)に抗菌剤「塩化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(CPC-Mont)」を2,5,10,15 重量%配合した抗菌性ウレタンゲル粘着シートを試作した。4種類の試作品のCPC徐放特性は、表在性CPC-Montに依存していた。また、粘着性能は、CPC-Mont配合量の増加に従い低下したものの,臨床上必要な粘着性能については更なる検証が必要となった。 2022年度は、4種類の試作品の抗菌性能および安全性の検証として、JIS Z 2801: 2012 / ISO 22196: 2011に準拠した抗菌試験およびOECDガイドラインに準拠した皮膚刺激性試験を実施した。その結果、CPC-Mont5重量%以上の試作品は暴露0日で黄色ブドウ球菌に、暴露1日でカンジダ菌に殺菌効果を示した。また、皮膚刺激性試験により、全ての試作品が「非刺激性」と判定された。以上より、最終仕様の候補には、CPC-Mont5および10重量%配合試作品を選択した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、抗菌性ウレタンゲル粘着シートの抗菌性能および安全性を検証し、2021年度の結果と併せて評価することで、最終仕様候補にCPC-Mont5および10重量%配合試作品を選択した。したがって、本研究課題の進捗状況は予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、臨床試験として皮膚粘着性能を検証し、最終仕様を決定することで、人工乳房装着のための抗菌性ウレタン粘着シートを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、抗菌性ウレタンゲル粘着シートの抗菌性能および安全性を検証し、2021年度の結果と併せて評価することで、最終仕様候補にCPC-Mont5および10重量%配合試作品を選択した。したがって、本研究課題の進捗状況は予定通りである。しかしながら、2023年度に実施する臨床試験である皮膚粘着性能の検証には、臨床研究法に従った新しい倫理審査に適合させるための予算が当初の計画では不足することが判明した。そこで、2022年度の予算を節約することで2023年度に使用することにした。
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