研究実績の概要 |
令和5年度(3年目)は,3D-CADソフト「Blender」上で確認用サンプルを設計し,レジン2種類(Dongguan Godsaid Technology社製「C01」,Shenzhen Nova3D Robot Technology社製「Red Wax Like」)と粒径の異なる2種類のジルコニア粉末(東ソー社製「TZ-3YS-E」および「TZ-3Y-E」)で,液槽光重合方式の3Dプリンター(EKEGOO MARS / MARS2Pro / MARS3Pro)を用いてサンプルの試作と焼却実験を進めた.しかし,様々なプリント条件(レイヤーの高さ,初期層の数,初期層とそれ以降の各々の露光時間,ステージの上昇速度,e.t.c.)で試作サンプルの造形を試みたが,十分な歩留まりを達成できる状態には至っていない.主たる実験は,「Red Wax Like」レジン+「TZ-3YS-E」粉末,および「Red Wax Like」レジン+「TZ-3Y-E」粉末の2通りに絞って試作体の製作を積み重ねてきたが,3Dプリントは今のところ1~2割の成功率にとどまっている. 次に,これらのプリントできた試作体を用いて,200℃から700℃までの昇温・焼却実験を行い,試作体の挙動を調べた.ポーセレン・ファーネスを用いて,昇温速度を20℃/minから120℃/minまで10℃刻みで変えて,試料の焼却状態を観察した.最終温度は700℃としたが,おおむねどの条件でも1/3程度の体積収縮を示し,積層間の部分剥離などを示すものが大半を占めた.昨年度の実験では,400℃程度までで概ね脱脂(レジンの焼却)ができる事がわかっていたが,形態を損なわずに脱脂を行うためには,レジンがガス化する付近の温度管理をさらに細かく制御する必要があることが示唆された.また,問題の事象の原因が他にもあるのか否かも検証していく必要があると考えられた. さらに,前年度に導入したジルコニア焼成用ファーネスを用いて,前述の脱脂工程が終了した試料を最終焼成(1,500℃)まで行うテストも実施しているが,令和5年度中にデータを取りまとめられるところまでには至らなかった.
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