研究課題
基盤研究(C)
形状記憶ゲルの結晶融点の異なる2 種のアクリレートモノマーの比率を制御することで温度による形状記憶、物性変化を評価した。その結果、相転移温度を高めることにより、口腔内温度にて安定した形状固定性を有し、温熱下で容易に形状を変形する材料の開発に成功した。また、義歯ベース材料と同等の硬度と、生体安全性を示した。これより、口腔内使用に適した形状記憶性・回復性を有する顎顔面補綴装置への応用が可能となった。
顎顔面補綴学
周術期医療に顎補綴治療が早期介入するためには、軟組織(手術創面、易出血性腫瘤、筋皮弁)など複雑で脆弱な形態に対応することが必要となる。今回開発した形状記憶ゲル(SMG)は、義歯床材と同様の生体適合性と硬度を有し、口腔内での成形が容易であり、優れた形状記憶性と形状回復性を有していた。これより、生体親和性、治癒促進性、欠損形態に対する細部再現性、および形態変化に対する適応性を有し、可及的速やかに欠損形態を栓塞・補填できる機能的な顎顔面補綴治療に応用できる可能性が示唆された。