研究課題/領域番号 |
21K09994
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 恭恵 東北大学, 歯学研究科, 助教 (50613064)
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研究分担者 |
伊藤 佳彦 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20803589)
服部 佳功 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40238035)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | おいしさ / 有床義歯 / 口腔テクスチャー感覚 / 高齢者歯科 |
研究実績の概要 |
口蓋を被覆する有床義歯の使用者の中には、「入れ歯を入れるとおいしくない」と訴える者がいる。床に覆われる硬口蓋はもともと味蕾を欠くため、味覚低下の影響は小さいと推察され、原因が特定されずに、心理的な問題として放置されることも多い。テクスチャーも、味と同じくおいしさに影響する食べ物の要素だが、義歯装着によるテクスチャー感覚の変化やその変化がおいしさに及ぼす影響についてはよく調べられていない。本研究の目的は、口蓋床の装着によるテクスチャー感覚とおいしさの変化の関連を明らかにし、義歯装着によりおいしさの変化を生じさせるリスク因子を明らかにすることである。 本研究では、はじめに、健常な若年有歯顎者を研究対象として、硬口蓋を覆う実験用口蓋床を作製し、口蓋床を装着した場合と非装着の場合に生じるテクスチャー感覚の変化を明かにする予定である。本年度は、実験用口蓋床の設計とテクスチャー感覚の検査方法を検討した。実験用口蓋床には、研究対象者によって床の厚みや形態等の条件の変化を最小限とするために、義歯床用熱可塑性レジンを使用することとした。口腔テクスチャー感覚の試験には、キサンタンガム水溶液の識別閾値と微結晶セルロース水懸濁液の検知閾値および識別閾値を測定するが、実際に使用する試料の濃度範囲を検討する予備実験を実施した。予備実験の結果を受けた研究プロトコールを作成し、東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会に申請を行った。 次年度の初めには、承認が得られる見込みであり、承認後速やかに研究参加者の募集を開始し、データ採取を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大防止の為に研究活動が制限される期間があり、研究の進捗は当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、キサンタンガム水溶液と微結晶セルロース水懸濁液の識別閾値および検知閾値を指標として、口蓋床装着の有無による口腔テクスチャー感覚の変化を検討した後は、日常的に摂取する機会の多い一般の食品を試験食品として、官能試験による検討を予定している。新型コロナウイルス感染症の蔓延による研究活動の制限が懸念されるが、感染防止に配慮した研究プロトコールを遵守することで、遅滞なく研究を推進するよう努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、出席予定の学会等がオンライン開催となり旅費としての支出がなかったこと、研究の実施が、当初の計画よりやや遅れており、被験者からのデータ収集の開始が遅れたために、2021年度分の支出が予算よりも過少となった。次年度は被験者からのデータ収集が開始されるので、21年度に予定していた支出が計上される予定である。
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