研究課題/領域番号 |
21K10001
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
丸尾 幸憲 岡山大学, 大学病院, 講師 (60314697)
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研究分担者 |
吉原 久美子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90631581)
長岡 紀幸 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70304326)
西谷 佳浩 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60325123)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 接着 / シランカップリング / アクリレート / セラミック / メタクリレート |
研究実績の概要 |
近年,患者の審美性に対する要求の高度化,金属アレルギーの問題に伴いメタルフリーによる治療の機会が増加している.また,保険適用の拡大によって,メタルフリー修復へ新たな材料の導入が続いている.しかし,メタルフリー修復の長期予後についてのエビデンスが少なく,修復後に破損や脱離といったトラブルが生じているのが現状である.本研究課題では,各種メタルフリー材料に対する最適かつ強固な化学的結合による表面処理方法を確立するため,従来のシランカップリング剤よりも高い疎水性を有する長鎖シランカップリング剤と,歯科で一般的に使用されているメタクリレートに比べて反応性の高いアクリレートを併用した新規プライマーを作製し,新たな長期耐久性を得ることが可能な処理方法を創出することを目的としている. アクリレートモノマーとして,トリメチロールプロパントリメタクリラート,トリメチロールプロパントリアクリラート,ジペンタエリトリトールポリアクリラートを用い,メチルメタクリレートモノマーにそれぞれ10wt%刻みで50wt%まで添加した液剤を調整した.この液剤とポリメチルメタクリレートポリマーを用いて曲げ特性の評価を行い,メタクリレートに対するアクリレートモノマーの添加は,重合体の曲げ特性を向上させる可能性を報告した.また,このアクレート添加PMMAレジンとCAD/CAM用メタルフリーブロックとの接着強さについて検討を加え,アクレートモノマーの添加は材料や添加量によって接着力は影響を受けることを報告した.現在は,アクリレートモノマーと従来使用されているγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと長鎖8-メタクルロキシオクチルトリメトキシシランの濃度を調整した処理材を調整し,CAD/CAMセラミック材料との接着強さについての計測を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,実験計画に基づき,おおむね順調に遂行できている.また研究分担者との連携も順調である.
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今後の研究の推進方策 |
アクリレートモノマー添加による重合体の曲げ特性,アクレートモノマー添加材料とCAD/CAM用ブロックとの接着強さの他,それらの界面の解析結果などから,至適添加量を推察する.アクリレートモノマーとしてトリメチロールプロパントリメタクリラート,トリメチロールプロパントリアクリラート,ジペンタエリトリトールポリアクリラートの3種類を,シランカップリングとしてγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと8-メタクルロキシオクチルトリメトキシシランの2種類を用い,推察した至適添加量を中心に網羅的にアクレートとシランカップリング剤の濃度を調整した処理材を調整し,CAD/CAM用メタルフリーブロックに対する接着強さについて,陶材,ハイブリッドセラミックとリチウムガラスを対象として検討を加える.これらの結果から長鎖シランカップリング剤とアクレートモノマーの併用によるCAD/CAM用メタルフリー材料に対する処理方法についての新たな知見を得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入金額が予定額よりも安価であったこと,また研究打ち合わせや学会参加のための旅費がオンライン等を利用することで軽減できたため次年度使用が生じたが,次年度に実施する解析に関する費用に充当する予定である.
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