研究課題/領域番号 |
21K10006
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
原田 佳枝 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (60432663)
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研究分担者 |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
石井 正和 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00456683)
末廣 史雄 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40524781)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 顎骨 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
義歯やインプラントといった補綴治療において、歯の喪失から長期間が経過した患者では骨吸収が進行し、治療が困難になることがある。特に、顎骨から採取される間葉系幹細胞(MSC)は、歯科医師が容易に採取でき、患者の負担も少ない。よって現在、高度顎堤吸収症例などへの臨床応用を目指した研究が進められている。 一方で、補綴治療の多くの対象者が高齢者である中、老化細胞が全身に蓄積する状況が見られる。そのため、高齢者から採取された顎骨MSCは、若年者のものと比べ老化による変化がある可能性が考えられるが、詳細はまだ明らかではない。 本研究では、若年および老齢のC57BL/6J雄性マウスから顎骨MSCと長管骨MSCを採取し、これらの細胞の増殖能力を比較検討した。また、β-gal染色を用いて老化細胞の陽性率を検出し、比較した。さらに、顎骨MSCを分化誘導培地で培養し、アリザリンレッド染色およびオイルレッド染色を行った後、骨分化と脂肪分化の能力を評価した。リアルタイムPCRを使用して、顎骨MSCの細胞周期や幹細胞性に関連する遺伝子発現を調べた。顕微鏡下で若齢MSCと老齢MSCの形態を比較すると、老齢MSCは扁平で肥大化した細胞が多く、β-gal染色でも老化細胞陽性率が高い傾向にあった。細胞分化実験では、若齢MSCと老齢MSCの両方で石灰化や脂肪滴が確認されたが、老齢MSCは若齢MSCに比べて分化能が低下していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による共同研究活動がストップしたことと、高齢マウス入手が困難になったため研究が遅れたが、動物を確保することにより研究活動を送れながらも進めることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
高齢マウス顎骨由来MSCの性質に関しては大凡の目処が付いた。今後は若年および老齢のマウスから採取した顎骨MSCと長管骨MSCを使用し、特に老齢マウス顎骨MSCの老化特性とその逆転方法を探求し、薬剤を投与して局所での骨再生に有用か検討する。この研究を通じて、老化細胞の再活性化や機能改善の可能性を探ることで、より効果的な治療法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初とは違う学会に参加参加し、情報交換を行う必要が生じた。また、動物購入額も計画当初よりもかなり価格が上昇したため。
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