研究課題/領域番号 |
21K10007
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
藤澤 政紀 明海大学, 歯学部, 教授 (00209040)
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研究分担者 |
三浦 賞子 明海大学, 歯学部, 准教授 (60431590)
勅使河原 大輔 明海大学, 歯学部, 講師 (70779016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生態学的瞬間評価 / 筋電図 / 覚醒時ブラキシズム |
研究実績の概要 |
覚醒時ブラキシズム(AB: awake bruxism)では検査方法,検査値の評価基準など多くの面で未だコンセンサスを得られるには至っていない.ABの筋電図検査では筋電図波形と実際のブラキシズム現象がどの程度一致するかといった点にも検証の余地がある.そこで,本研究では筋電計により覚醒時の咀嚼筋筋活動およびブラキシズム現象の生態学的瞬間評価(EMA: ecological momentary assessment)を同時に記録し,両データを照合しABに対する筋電図の特徴を検討する.104名を被験者として,ブラキシズム(BR)群とコントロール(CO)群に分類し以下の実験を行った.データログ式ワイヤレス筋電計を用いて食事を含む日中5時間の筋電図測定を行うとともに,ランダムな間隔でアラーム(15回/5h)を発生するよう設定した小型タブレット端末を被験者に携帯させ,アラーム発生時のABの自覚の有無を入力しEMA記録を行った.EMAと筋電図波形より感度と特異度を算出し,受信者動作特性(ROC: receiver operating characteristic)曲線を求めた.最大咬みしめ時の筋活動量(MVC: maximum voluntary contraction)を100 %とし,相対値で筋活動量を評価した.判別分析の結果よりEMAにおけるABの自覚が4回以上で解析する妥当性が得られた.筋活動量と筋活動持続時間を組合せたパラメータをEMAの結果と組合せ,BR群とCO群を識別できるカットオフ値を求めた.その結果,20%MVC持続時間 1 s以上のイベントでROC曲線下面積 0.77,カットオフ値が 3.2 回/hであった.この値がABのスクリーニング判定基準候補と考えられる.本研究結果からEMAとEMGを組合せた評価が可能であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
100名を超える被検者のデータを記録し、解析に着手しており、本研究の目的である、「覚醒時ブラキシズム」検出基準設定に必要なデーターを記録できている。さらにブラキシズム群とコントロール群での特徴的なパラメータ検出に向け、カットオフ値設定のため、ROC解析を行った。今後はこれに引き続いて解析を行う予定である。 これらの手法により、主観評価である「自覚」をゴールドスタンダードとしてEMG等の客観評価法を検討してきた従来の研究方法の矛盾を解消でき、probable bruxismとdefinite bruxismの評価を組合せたブラキシズム評価基準を提案できる可能性を示すことが可能になるものと期待される。これらの理由から、本研究の進捗状況はおおむね順調であるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
得られたデータを基に、現在まで解析した項目に加え、AB習癖者の評価基準となる筋電図イベント数カットオフ値の検証を行い,総解析時間における筋電図記録1時間あたりの筋活動量と筋活動持続時間を組合せたパラメータをEMAの結果と組合せ,BR群とCO群を識別するカットオフ値を求める.ここで得られたカットオフ値を利用して全体のBR群とCO群に反映しクロス集計表にてdefinite bruxismの妥当性を検証する予定である。 判別分析はフィッシャーの線形判別関数を拡張した正準判別の手法を用い,利用できる変数を確認し,得られた判別関数より判別的中率を求める.この手法を用いることで、主観評価である「自覚」をゴールドスタンダードとしてEMG等の客観評価法を検討してきた従来の研究方法の矛盾を解消でき、probable bruxismとdefinite bruxismの評価を組合せたブラキシズム評価基準を提案できる可能性を示すことが可能になるものと期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大の影響で、成果発表の場となる学会発表がオンライン開催であり、旅費の支出が生じなかったため、予定していた旅費を含めて次年度使用額が生じた。研究成果が順調に進捗しており、学会発表、論文発表を予定していることから、次年度の予算に旅費、論文作成に要する費用としての支出を予定している。
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