研究課題/領域番号 |
21K10008
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
七田 俊晴 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (70307057)
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研究分担者 |
古屋 純一 昭和大学, 歯学部, 准教授 (10419715)
下平 修 昭和大学, 歯学部, 講師 (30235684)
佐藤 裕二 昭和大学, 歯学部, 教授 (70187251)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 口腔機能低下症 / 高齢者 / 口腔機能年齢 / オーラルフレイル |
研究実績の概要 |
多くの人の年齢ごとの口腔機能低下状況を調査することで,各年代の平均値と分布を明らかにし,各人の検査結果が同世代の分布のどこにあるかを示すことにより,口腔機能年齢を確立する.診断基準に年齢差・性差・簡便さを追加し,それぞれの検査項目を総合した口腔機能年齢の早見表を提示することを目的とする.令和3年度は,同意が得られた本学歯科病院高齢者歯科講座の受診者400名男女別,5歳ごとの年代別に,各検査値の平均と標準偏差を求めて,年齢と検査値の関係を示す.被験者の検査値がこの分布上どこにあるかで,各被験者の7つの検査ごとの機能年齢を算出できる.この口腔年齢を口腔機能低下症の7つの検査で行う.各検査の重み付けを行う.これにより機能年齢を加重平均する事で,総合的な口腔機能年齢を算出することを計画していた.2020年から続く新型コロナウイルス感染症の蔓延のため,データの集積数がやや少ない状況ではあるが,口腔機能年齢の算出方法を試作したものが,論文投稿中である.316 名の患者データをもとに,①口腔不潔,②口腔乾燥,③咬合力低下,④舌口唇運動機能低下,⑤低舌圧,⑥咀嚼機能低下,⑦嚥下機能低下の7項目を分析した.①口腔不潔,②口腔乾燥,⑦嚥下機能低下は年齢と相関が認められなかったことから,口腔機能年齢の算出からは除外し,その他4項目の分布から得られた近似直線をもとに,それぞれの口腔機能年齢を算出する.各機能についての求められた,口腔機能年齢から,年齢を目的変数として多変量解析を行ったデータをもとに,それぞれの項目の重み付けを決定した.それらのデータを用い,総合的な口腔機能年齢の算出を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究のデータの集積方法は,多施設の口腔機能低下症の検査結果と年齢性別のデータを集積している.本学歯科病院の来院患者数により,進捗が左右されることとなる.2018年より保険算定となった検査であり,2019年では,検査の流れも共同研究者の中で習熟され,200名ほどのデータが集積された.それ以降は,新規患者や,管理中の患者も含めて,データとして調査の対象となるのべ人数はさらに増加すると考えられていた.2020年より,新型コロナウイルス感染症の蔓延し,本学歯科病院の所在地である東京都内でも緊急事態宣言が発令された.本学歯科病院でも,新型コロナウイルス感染症の影響から,受診控えが多くなり,当初予定していた,人数としては,やや少ない結果となっている.しかしながら,現在集積されているデータをもとに,試作として開発した口腔機能年齢の算出方法を記載した論文が投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度までは保険算定上の口腔機能低下症の管理加算が65歳以上が該当であったことから,65歳以上の患者の数が多かった.しかしながら,2022年度の保険改訂から50歳以上に引き下げられ,50-64歳について,より多くのデータの集積が期待される.新型コロナウイルス感染症による,本学歯科病院への受診控えも最近では落ち着いてきていることから,集積されるデータ数も増えてきている.今後は,多施設の口腔機能低下症のデータの集積を行う予定であり,準備を進めている.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため,当初現地での発表を予定していた学会が現地開催ではなくなり,web開催となったため,旅費がかからなくなったため.使用計画は,現在,複数の学会が,現地開催を予定していることから,日本補綴歯科学会,日本老年歯科医学会への参加を予定している.また,他施設共同研究に向けて,使用機材の整備や,手配を予定している.集まったデータに関しての論文作成も予定している.
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