研究課題/領域番号 |
21K10013
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
西川 啓介 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (10202235)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 咀嚼 / 骨伝導音 / 筋電図 |
研究実績の概要 |
咀嚼は、摂食・嚥下の過程で行われる動作としてのみでなく、肥満予防や認知機能の向上、がん予防など様々な効用が知られている。近年、日常生活における咀嚼の状態を評価する目的で、食事などにおける咀嚼回数を計測する咀嚼カウンターが用いられその成果が報告されている。本研究は骨伝導音(Bone Conduction Sound、BCS)を利用することで、スピーカーとマイクロフォンのみをセンサシステムとして用いた、簡便な構造の咀嚼カウンターを開発し、咀嚼回数を定量的に評価方法する確立するとともに、健常被験者及び高齢者群を対象として日常生活動作における咀嚼状況を評価することを目的とする。 本年度は健常被験者16名を対象として昼食の際に行われる咀嚼量について、骨伝導音を利用した歯列接触センサによって測定を行った。またウェアラブル筋電計(株式会社ジーシー)及び携帯型咀嚼計bitescan(SHARP)を用いることで、測定記録の妥当性について確認を行った。骨伝導音と咬筋筋電図信号の解析にはMATLAB(MathWorks)を利用した信号処理プログラムを用いて、食事時間、咀嚼回数、咀嚼スピードの三項目を対象とした。さらにこの値と同一被験者の口腔機能低下症の診断に用いる検査値のうち口腔粘膜湿潤度、オーラルディアドコキネシス、舌圧検査、咀嚼能力検査との相関について調べた。調査の結果、咀嚼回数とオーラルディアドコキネシス/pa/の検査値との間に、有意な正の相関が認められた。このことから高齢者以外においても、よく噛むことにより口唇の運動機能が向上する可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに開発した咀嚼カウンターを用い、被験者16名を対象として測定を行うとともに、表面筋電計ならびに従来型の咀嚼計を用いた同時測定によって得られた記録と比較を行うことで測定記録の妥当性を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は被験者をさらに追加し、咀嚼計として完成度を高めるとともに、これまでに報告されている口腔機能を評価するために用いられてきた検査値との比較を行うことで、咀嚼計による口腔機能評価法の確立を図るよう予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
導入を検討していた骨伝導音をより効果的に解析するために必要な、高速演算を可能とする計算機の納期が、年度内に間に合わないことが判明したため。
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