研究課題/領域番号 |
21K10028
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
松本 貴志 昭和大学, 歯学部, 助教 (00635039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 5-HT2A / ips細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立あたり、(a)ブラキシズムおよび対象患者のiPS細胞の樹立、(b)iPS細胞のセロトニン分化誘導法の検討、(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法の検討、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析として、(a) 5-HT2A SNP変異による機能解析(ⅰ:生物学的アプローチ、ⅱ:電気生理学的アプローチ)と、それに付随して(b)5-HT2A変異による機能変化に影響する因子の探索を行う予定である。 初年次となる2021年度は、(a)ブラキシズムの遺伝子的疾患特異モデルを確立および(b)樹立したiPS細胞について、安定したセロトニン関連遺伝子発現神経細胞への分化誘導方法について検討し、誘導物質の濃度勾配による領域特異的神経細胞分化誘導法について検討し、比較的目的遺伝子の発現が多いとされる領域特異的な誘導を実施した。分化誘導した細胞より微弱ではあるが目的遺伝子の発現が認められた。 2022年度研究では、(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法の検討として、標的遺伝子のプロモーター領域を応用した蛍光標識によるモニタリング法:5-HT2A のプロモーター領域を挿入したGFP標識ウイルスベクターを作製し、蛍光顕微鏡下にて発光強度の高い細胞の選別が可能となった。また、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能の解析として、(a)5-HT2A SNP変異による機能解析のうち、単細胞パッチクランプ法による電気生理学的アプローチを実施し、細胞内のSNP変異による差異に関して結果を得ることができた。 2023年度は分子生物学的機能解析を検討し、変異群コントロール群間でシングルセルRNAシークエンスを実施して解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究期間における研究遂行日程に関してはやや遅れている。 研究期間初期はCOVID-19の影響により、被験者の確保や研究施設の使用制限等があり、一部遂行に支障をきたす状況であった。 2022年度に予定していた(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法について、(ⅱ)ソーティングによる分取法については結果が得られていない。 また、②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析について、(a)5-HT2A SNP変異による機能解析のうち、分子生物学的アプローチについては、本研究で使用している神経細胞への分化誘導法で分化できる標的細胞は分化度や分化方向が不均一であるため、当初予定していたCHIP解析ではなく、標的となる単一細胞よりシングルセル遺伝子発現解析へ分析方法の変更を再検討し、その解析費用を捻出のため、2022年度および2023年度予算分を合わせて解析を実施したことで、その他研究の遂行に遅滞が生じることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に予定していた②5-HT2A高発現iPS細胞を用いたセロトニン受容体のSNP変異による受容体機能解析の内、(b)5-HT2A変異による機能変化に影響する因子の探索は、(a)5-HT2A SNP変異による機能解析、特に分子生物学的アプローチについての結果が必要不可欠であるが、2022年度で十分な成果が得られていないため早急に進める予定である。本研究で使用している神経細胞への分化誘導法で分化できる標的細胞は分化度や分化方向が不均一であるため、当初予定していたCHIP解析ではなく、標的となる単一細胞よりシングルセル遺伝子発現解析へ分析方法の変更を検討し、現在その解析結果を検証している。 また、上記選択培養にも必要となる①効果的な5-HT2A高発現iPS細胞分化誘導法の確立において、(c)効率的な5-HT2A 高発現細胞の選択的培養法の検討のうち、(ⅱ)ソーティングによる分取法についても現在研究を平行して進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度および2022年度はCOVID-19の影響が大きく、研究施設の使用制限や、エフォートの著しい低下により、全体的な研究遂行に遅れが生じた。 また、遂行予定であった内容についての試薬等は多数備えており、追加での発注が生じなかったことが理由としてあげられる。 研究計画のうち、(a)5-HT2A SNP変異による機能解析において、上記に示したように、解析方法を一部変更し、シングルセル遺伝子発現解析を実施するにあたり、その解析費用を算出する必要が生じ、実施可能なところから研究を進め、一部使用制限を意図的に生じるよう研究方法について変更を行った点が挙げられる。
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