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2021 年度 実施状況報告書

栄養豊富なサツマイモのもつ口腔内細菌増殖抑制活性の成分特定と歯周病予防への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K10030
研究機関東京歯科大学

研究代表者

三浦 直  東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (10266570)

研究分担者 小田 由香里  東京歯科大学, 歯学部, 助教 (20778518)
志澤 泰彦  日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30413131)
塚越 絵里  国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 任期付研究員 (60615384)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードサツマイモ / 歯周病原性細菌 / 歯周病予防 / Porphyromonas gingivalis / う蝕原性細菌 / Streptococcus mutans / デンタルプラーク / う蝕予防
研究実績の概要

サツマイモは準完全食と言われる栄養豊富食物で、栄養摂取の観点が重要視されてきたが、歯科領域の研究ではこれを利用したものはほぼ皆無であった。今回サツマイモの成分がう蝕原性細菌の形成するデンタルプラークを抑制する活性があることを発見した。さらに同じく口腔内感染症の原因菌である歯周病原性細菌にも効果がある可能性を見出したため、その仮説の真偽を証明すべく詳細を検討する研究を開始した。
国産サツマイモを1時間蒸煮し、水を加えてスラリー化した後、しばらく加温し圧搾した水溶液をさらに2時間以上煮詰めるとシロップ状の高粘度の液体となった。
この画分を用いて、う蝕原性細菌であるStreptococcus mutansを使用して、ショ糖による試験管内人工デンタルプラーク形成試験を行った結果、このサツマイモ画分を添加した試料にプラーク形成阻害が認められた。
さらに、歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisの菌液にこの液体画分を一部添加し、37℃嫌気培養を行ったところ、当該細菌の増殖が抑制され、生菌数が対照群に比較し、40%以下に減少した。この増殖抑制活性は、濃度依存的であることも示された。当該画分が培地中10%の濃度でほぼ生菌数がゼロになった。この画分を水で希釈し、遠心分離した上清画分を用いた培養試験でも、同様に歯周病原性細菌の増殖を抑制する活性があることが判明した。また、複数の品種でも試験したが、使用した全ての品種について、上記活性が認められたので、品種に関係なく普遍的に存在する水溶性成分であると考えられた。
一方、同様な試験をサツマイモの葉の粉末を用いて行ったが、葉の水溶性画分には歯周病原性細菌の増殖を抑制する活性は認められなかった。今後この活性を示す画分について、詳細な解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯科の口腔内2大感染症に対して、サツマイモ成分が効果的に抑制する可能性について、実験し確認したところ、予想通りの抑制効果を見出した。この効果の原因となる成分を探索していく過程で、成分特定の範囲を絞っていくことができた。組み立てた作業仮説を実験で確認し、おおまかに正しいことが判明したので、今年度の進捗状況については、ほぼ予想通りの展開になったと言える。

今後の研究の推進方策

今年度で、口腔内2大感染症に対して、サツマイモの成分が抑制方向に活性をもつことが判明したので、さらにこの活性について、詳細な検討を行う。また、この活性を示す本体である、具体的な成分特定も可能な限り進めていく予定である。
現在のところ、活性を有するサツマイモの画分は、非常に高粘度の液体であるため、実験的に取扱いが難しい。この特性を、実験に適した状態に改変する方法も同時進行で実施している。

次年度使用額が生じた理由

年度末近くに予算の残高が、10,000円程度残されていることが判明したが、無理に帳尻を合わせて慌てて物品を購入し、無駄が生じるよりも、翌年度に繰り越して、有効に予算を執行したいと考えたから。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Antimicrobial effects of gatifloxacin on canine periodontopathic bacteria in vitro2022

    • 著者名/発表者名
      Miura, T. , Oda, Y. , Tanabe, K. , Shizawa, Y. , Ito, T. and Yang, L.
    • 雑誌名

      Journal of Biomedical Science and Engineering

      巻: 15 ページ: 89-96

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2023-03-23  

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