研究実績の概要 |
本研究に同意が得られた健常者3名(男性1名,女性2名)を対象とした.ハンディ3DスキャナArtec Eva(Artec 3D社)を用いて2種類の顔面表情モデル(無表情,笑顔)を得た.モーフィング法により三次元顔面表情運動モデルを作成した.無表情における笑顔成分を0%,笑顔における笑顔成分を100%と規定し,30%,50%,70%のデータを選択した.選択したデータは作業用模型の形態に編集後,3Dプリンタにて造形した.30%の作業用模型上で製作した実験用エピテーゼをS30とし,以下,50%をS50,70%をS70とした. 本研究においては,二種類の形態の実験用エピテーゼを製作した.形態は1/4楕円状で左辺縁は右鼻翼に適合するようにし,長径35mm,短径18㎜とした.この実験用エピテーゼをAとし,Aよりも長径が5㎜長い実験用エピテーゼをBとした. また,皮膚粘弾性測定装置(Cutometer, Courage Khazaka社)を用いて顔面の皮膚の粘弾性を測定した.測定部位は,右側で,FH平面に垂直かつ外眼角を通る直線及び,唇交連と耳珠上縁を結んだ直線が交わる点(ⅰ)と右鼻翼から右水平方向に25㎜から上矢状方向に5㎜の点(ⅱ)とした. 計測項目は,粘弾性を表す3種類のパラメータを用いた.各種形態の実験用エピテーゼ毎に各計測項目と適合性の相関分析を行った. 脱落試験において,実験用エピテーゼAは15.87±4.54秒,Bは12.33±2.34秒であり,AはBより脱落しにくかった.また,粘弾性と適合性において,実験用エピテーゼAにおいては,S30では弾性と適合性に相関がみられ,粘性と適合性に相関はみられなかった.S50,S70では,弾性,粘性共に相関はみられなかった.実験用エピテーゼBにおいては,S30,S50,S70では,弾性,粘性共に,適合性との間に相関がみられた.
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