研究課題/領域番号 |
21K10034
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 准教授 (30320287)
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研究分担者 |
吉村 力 福岡大学, 医学部, 准教授 (20511885)
藤岡 伸助 福岡大学, 医学部, 講師 (20735584)
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 睡眠時ブラキシズム / 神経疾患 / 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 |
研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)患者の夜間睡眠時の咀嚼筋活動を評価した。 対象は2020年8月から翌年2月までに当院呼吸器内科で終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行い、同時にウェアラブル筋電計(ジーシー)にて咬筋活動を観察し得た連続した40名。OSASと診断されなかった7名を除外し、33名(男性23名、女性10名、平均年齢63.1±16.7歳)について解析した。筋電図は全就床時間のうち振幅が基線の2倍以上で0.25秒以上持続する波形を睡眠時ブラキシズムバースト(SB-B)として抽出した。また、波形持続時間が0.25秒以上2秒未満をphasic波形、2秒以上をtonic波形とした。SB-B回数とPSG検査結果の関係について統計学的に評価した。 SB-Bは平均22.8±15.5回/時が検出され、内訳はphasicが35.5%、tonicが15.4%、mixedが49.1%であった。中等度SBが疑われる25回/時以上のSB-Bが検出されたのは9名(22.5%)であった。SB-B回数は、睡眠効率(R=-0.377、p<0.05)や覚醒反応指数(R=0.487、p<0.01)と有意な相関関係が認められたが、無呼吸低呼吸指数や周期性四肢運動障害指数とは有意な相関関係は認められなかった。 今回の研究解析はSB-Bのmanual解析を行っていないため、検出された咀嚼筋活動にSB-B以外の波形が含まれている可能性はある。OSAからの呼吸回復時にSBが出現することは知られているが、今回両者に明らかな関連性は認められなかった。一方で、SB-B発現が覚醒反応を惹起し、睡眠効率を低下させている可能性が示唆された。また、SBと周期性四肢運動障害の出現頻度に関連性はなく、両者の発現機序は異なることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コントロールとなる閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者の対象者は順調に増えているが、神経疾患の対象患者が例年に比べて少ないため。2021年9月時点で、閉塞性睡眠時無呼吸症候群患者78例、神経疾患患者は5例となっている。中等症以上のBruxismが疑われたのは、閉塞性睡眠時無呼吸症候群では78例中13例(16.7%)であったが、神経疾患5例中2例(40%)であり、単純計算では神経疾患患者の方がBruxism合併率が高いことが予想される。神経疾患患者の参加者数が充足し次第、統計学的に分析を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
神経疾患患者の参加者数が充足し次第、神経疾患患者群とコントロール群を統計学的に比較分析したい。神経疾患のうち多系統萎縮症患者については、夜間喘鳴の分析も同時に行う。多系統萎縮症は、声帯外転麻痺を伴い、睡眠中の突然死の一因となることが知られている。これまでの多系統萎縮症患者に対するPSG検査では、高頻度(42%)で重症睡眠時無呼吸症候群が認められているが、声帯外転麻痺を伴う睡眠呼吸障害が含まれるかどうかは不明である。PSG検査と同時にいびき音の音声解析を行うことで、声帯外転麻痺に伴う吸気性喘鳴の存在も予想することができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会発表機会が減ったため、次年度使用額が生じた。今年度は学会発表と論文作成のために予算を割いた上で、PSG検査結果の分析とともにいびき音の音声解析を行うための費用を確保する予定である。
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