研究課題/領域番号 |
21K10036
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
梅山 悠伊 北海道大学, 歯学研究院, 学術研究員 (90893206)
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研究分担者 |
樋田 京子 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (40399952)
菊地 奈湖 (間石奈湖) 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (00632423)
松田 彩 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (60514312)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / トランスポーター / 口腔がん / 腫瘍血管内皮細胞 |
研究実績の概要 |
がん治療法の一つとして,外科的手術療法や放射線療法などと共に化学療法が広く行われている.しかし多くの場合,がんは薬剤耐性を獲得して治療抵抗性となるため,がんの薬剤耐性の克服は重要な課題である.薬剤耐性のメカニズムの一つに薬剤排出トランスポーターの発現亢進が知られている.最近,申請者らのグループでは,膀胱がんにおいてがん細胞のみならず,がんの血管を裏打ちする腫瘍血管内皮細胞が薬剤排出トランスポーターを高く発現することを見出し,またそれが予後不良に関与すること,さらに腫瘍血管の薬剤排出トランスポーター阻害により,抗がん剤治療の効果が改善されることを報告した.口腔がんでは外科手術療法が第一選択であるが,再発症例などに対して化学療法として抗がん剤を投与することも多い.抗がん剤は増殖活性の高いがん細胞には効果的な殺傷効果を示すが,全身投与であることから正常細胞など目的の細胞以外にも影響を及ぼす副作用が問題となる.本研究ではこれまでの知見を活かし,口腔がんにおいて薬剤排出トランスポーターの発現とその意義を解析し,トランスポーター阻害による口腔がんの新たな薬剤耐性克服治療法の実現を目指す. 2021年度は,抗癌剤ががん細胞および血管内皮細胞に及ぼす影響について検討した.また抗癌剤により影響を受けたがん細胞が血管内皮細胞に及ぼす影響について検討を進めた.抗癌剤処理によりがん細胞に炎症性変化が生じ,血管内皮細胞に影響を与えることが示唆された.口腔癌治療症例において化学療法の有無を確認し,症例を選出している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗癌剤治療前後で組織の入手可能な症例,ならびに術前抗癌剤治療あり・なしの手術症例をピックアップするのに時間を要したため.
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今後の研究の推進方策 |
抗癌剤治療前後で組織の入手可能な症例,もしくは術前抗癌剤治療あり・なしの手術症例について,薬剤排出トランスポーターの発現を組織免疫染色により可視化し評価する.また,抗癌剤処理によるがん細胞および血管内皮細胞の形質変化をin vitroで解析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
抗癌剤治療前後で組織の入手可能な症例,ならびに術前抗癌剤治療あり・なしの手術症例をピックアップするのに時間を要したため,組織学的解析を次年度に行うことになった.それに伴い,切片薄切費用や免染用試薬などの消耗品等の費用も次年度に使用する必要が生じたため.
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