研究実績の概要 |
現行の軟骨再生医療は、培養中に脱分化する軟骨細胞が、生体内に移植されると自然に成熟する過程を活用して行われているが、その分子メカニズムの詳細は未だ不明である。本研究では、再生軟骨移植後の組織成熟に伴い特性や局在を変化させていく軟骨細胞やマクロファージに焦点をあて、組織成熟の分子メカニズムを明らかにしていくことを目指している。 C57BL/Jマウス耳介組織から軟骨細胞を単離し培養増殖させた後、ポリ乳酸足場素材へ播種して再生軟骨組織を作製し、マウスの背部皮下へ移植した。再生軟骨組織を経時的に摘出し、半割した組織をハサミで細切し、HBSSやコラゲナーゼ処理にて細胞を単離した。単離条件としては、摘出した再生軟骨組織をはさみで5分細切した後、0.3%コラゲナーゼ液を用いて処理(130 rpm, 37℃, 1.5 hr)すると、100 x 10^4程度の細胞数を確保できることが明らかとなった。ついで、単離した細胞集団に対しF4/80, TLR、CD11c, CD14, MHC class IIなどの抗体を使用してフローサイトメトリーにてマクロファージのポピュレーションを解析し、F4/80+を指標にマクロファージを分離した。また半割した再生軟骨組織の残りについては、トルイジンブルー染色、ヘマトキシリンエオジン染色で組織学的に軟骨細胞の成熟過程を評価した。
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